第12章 矛盾
「それは、、、、。本当に申し訳ありません。」
確かに、主人公は病院から受け取るお金のほとんどを寄付している
そもそも清貧な暮らしには、お金はあまり必要ない
必要な物が最低限あれば暮らしていけるのだから、余ったお金は長引く入院や高額な手術などで必要としている人に使ってもらったらそれで良いと思っての事だ
病院長がそれらをわかった上で、主人公に高額な給与を与えてくれる優しい人だという事も、主人公は良くわかっていた
ふぅ、、、と、病院長はため息をついた
「私や街の人に迷惑がかかる、、、そう思ってるんだろう。」
「、、、それも確かにあります。でも、違います。本当に私の我儘なんです。」
「それは、どういう事だい?」
このまま黙って行ったとすれば病院長も、主人公をとても心配するだろう
優しい人なのだ
自分を犠牲にして病院を守った、、、そんな風に思って心を痛めるかもしれない
しかし主人公の考えは、そんな崇高な志などでは決してない
街の人の為、病院の為、、、、そんな風に思ってきたのに、こんなにもあっさりと手放そうとしている自分に吐き気すら覚える
恩を仇で返すとは、まさにこの事だ
ローの為でも、病院の為でもない
結局は独りよがりの自己満足だ
そんな自分を偽るのは、どうしても嫌だった
「実は、、、、、」
ローの事、海軍の事
それらを掻い摘んで、主人公は病院長に簡潔に話した
どちらにしても、行かねばならない状況であることには変わりない事
それならばと、彼らを見逃してもらう事を条件に、逃げも隠れもせず大人しく海軍と共に行く、、、という取引を主人公自身がした事
病院長は主人公の言い分を、黙って聞いてくれた
「、、、、それが、理由です。」
「、、、、、驚いたな。」
話終えると、病院長は、そう言ってまたため息を吐いた
言えば言う程に、身勝手な理由だ
幻滅されても仕方ない