第12章 矛盾
―――もうすぐ別れの時間が来る
ローは旅立ち、主人公は自分の決めた道を行く
彼の記憶に再会した主人公は、どんな風に残るのだろうか
10年前と同じ、やはり裏切り者の憎むべき相手のままだろうか
それとも、聖職でありながらふしだらな女だと、嘲る相手だろうか、、、、
どちらにしても、自分がローにとって煩わしい存在なのは変わりない
―――昨夜は、確かに幸せだった
余計な事は考えないように、頭をふる
例え偽りであっても、確かに幸せだったのだ
まるで、あの忌まわしい過去などなかったかのように、愛しい幸福な時間だった
それで主人公は充分だった
最後にもう一度だけ、ローの寝顔をしばし見つめたあと、主人公は静かに船室を出た
外に出ると、既に夜は明けかかっていた
明け方の冷たい浜風は、主人公からあっという間にローとの温もりを奪っていった
風が頬を、ひときわ冷たく冷やしながら吹き抜ける
気がつくと、主人公は声もないまま泣いていた
しかし、すぐに涙を拭い真っ直ぐに前を向いた
―――大丈夫、きっと大丈夫
一体、何に対して大丈夫なのか自分でもわからなかったが、そう自身に言い聞かせ続けた
そうしないと、1歩だって踏み出せそうになかったから