第12章 矛盾
明日には出港すると、シャチ達から聞いて来たのだろう
その夜主人公はローの前で寂しそうに立ち竦んでいた
普段きっちりと結い上げている髪は下ろされていて、空に浮かんでいる満月の光を受け、キラキラと輝く髪が穏やかな浜風を受け舞っていた
着の身着のまま出てきたのか、質素な丈が長いワンピースに、これまた質素なショールを肩からかけただけの格好だった
その丸い襟ぐりからは、華奢な鎖骨が覗いてた
たったそれだけで息苦しさを覚え、ローは心の中で舌打ちをした
正直、もう会いたくないと思った
姿を見るだけで、気づいてはいけない何かが、ジワジワと頭をもたげ始める
それを酷く煩わしく思い、発する声までも冷たくなってしまう
早いとこ話を終わらせたかった
心残りは海軍の事だけ
では、海軍をさっさと倒してしまえば良いだけだ
これで貸し借りはなし
そして、アイツは、、、主人公はこの島で、今まで通り暮らせばいい
―――過去の事も
―――復讐も
―――それで全て、終わりだ―――
これで良い、、、、
ローは確かにそう思ったのだ
しかし、彼女の願いは予想もしない事だった
『私を、、、抱いて。』
最初は聞き間違いかと思った
そんな事があるわけねェ、、、そう思いながらも、珍しくうるさいほどに鼓動の速度が増していた
間違いなく狼狽えていたであろうローに、主人公は言った
『今夜だけ、、、。嘘で良いから、私をローの恋人みたいに抱いて欲しいの。』
ああ―――と、途端にローはその言葉の意味を理解した
きっと彼女は、何度も陵辱された記憶を塗り替えたいのだ
それだけローは、最初から酷い抱き方しかしなかったから
いつも乱暴に抱いて、無理矢理に快楽を引きずり出し、酷い言葉ばかりをぶつけて何度も泣かせて貶めた
そんな風に扱われた記憶なんて、忘れたいに決まっている