第12章 矛盾
それなのに、、、、
『もう、、、、殺して、、、、』
主人公がそう言って泣いた時、自分の中で何かが確実に変わり始めた
望み通り死ね、と、暗い欲望を叶える絶好の機会だった筈だ
左胸に手を伸ばすだけ、簡単だ
しかし実際には、ギリギリと心臓に爪を突き立てられているのはロー自身だった
まるで頭を殴られたような衝撃だった
―――死ぬなんて、許さねェ、、、、
―――何故だ?あれほど、憎んだ相手なのに、、、、
そして、有り得ない事に
慰めるかのような口づけまで
―――馬鹿な真似をした
自分自身にもわからない行動に奥歯を噛んだ
どうして、あんな事をしてしまったのか
そう思ってはみても、胸の奥底から込みあげてくる疼きは、もはや誤魔化せない程だった
その事にローは焦った
―――駄目だ―――
―――もう、抱けねェ―――
これ以上ここに留まれば、きっと自分はもっと手酷く彼女を抱いてしまう
そして、このままでは、、、、、
―――これ以上
―――近づくのは危険だ
そう、思った
それは漠然とした確信だった
神に捧げる筈だった純潔を奪い、無垢な身体を堕落させた
死にたいほどの絶望と、体には堕落の烙印を
―――目的は既に果たした、、、、
―――復讐は終わったのだ
ローの中で答えは出た
もうこれ以上、この島に留まる理由は何もない
だから、いくらシャチ達に止められようが、ベポが嫌だと駄々をこねようが、船を出すとローは決めた
修理屋に言われた言葉も、身体の底から覗かせる感情にも気づかないふりをして、全てに蓋をしなければならない
今ならまだ引き返すことができる
心の奥底から抉り出されるような、その感情は恐怖に似ている
そう、、、、自分は怖いのだ
彼女の細いのに柔らかい体に、意味のない温もりを求めてしまう事が
泣き顔より笑顔が見たいと思ってしまう愚かな感情が
そして、気づいてしまえば最後
自分は二度と、後戻りできなくなるであろう事が