第10章 罪の対価 ⚠
断る暇もなく、アサドはウィンクしながら足取りも軽く帰って行った
主人公はというと、予想外の出来事に呆然とその後ろ姿を見送るしかできなかった
彼が去った途端、先ほどの会話が思い出される
随分と噛み合わない会話だとは思ったが、アサドの『将来を考えている』とか『一緒に住めばいい』というのは、、、いわゆる『結婚』を前提の意味合いの言葉だったのだろうか
アサドは病院長の体を気遣ってるだけなのだと、最初から勘違いして聞いていたから、、、、
まさか、そういう意味だったなんて、、、、
その場できちんと断る事ができなかった事が、今になって悔やまれる
主人公はアサドを男性として見たことなんて、一度も無い
アサドに口づけされた頬に、そっと手を当ててみる
彼には申し訳ないけど、、、、
どう転んだって、彼との将来は想像する事さえできないのだから、その場できちんと断るべきだったのだ
私が結婚だなんて、、、あり得ないわ、、、
誰ともそんな関係に、なるつもりなんてないもの
『君は純粋で、穢れなき天使のようだ。』と、アサドは言ってくれた
あまりにも自分に相応しくない言葉に、思い出して自嘲の笑みが溢れた
外見なんて、1枚皮膚をめくれば皆同じ
私なんて、、、、
神に遣えておきながら、自分のエゴの為だけにローに自ら身体を差し出しているような汚い女なのに、、、、
―――それでも、私はローを、、、
両手で自分の身体をかき抱くと、ローに噛まれた跡がズキリと痛んだ
同時に、、、下腹部が甘く疼き、中からトロリと蜜が下着に滴り落ちたのが自分でもわかった
―――なんてこと、、、、ッ!
ゾッとすると同時に、、、思わぬ熱が押し寄せてきそうになり、慌てて主人公は祭壇の前に跪いた
自分の体の変化に混乱し、恐怖と不安で思わず手で口を塞ぐ
不埒な熱を振り払うように、すぐに両手を合わせて神に祈りを捧げた
―――主よ、どうぞ私をお許しください
―――ローの事を考えると、、、自分がどうにかなってしまいそうで怖いのです
―――どうか、、、どうか、これ以上、心が乱されませんように