第10章 罪の対価 ⚠
主人公にとってアサドは、良き同僚で友人なのだが、、、彼のある所だけは苦手だった
それは、距離感が近いところ
ある意味、彼の良いところなのだろうが、、、人付き合いが得意ではない主人公にとって、時にアサドの誘いは強引に感じてしまいペースを乱されてしまうのだ
もちろんアサドは誰に対してもそうなのだから気にする必要はないのだが、、、主人公は何年経ってもこの距離感だけは馴染めないでいた
「アサド、一体どうしたの?」
「主人公を誘いに来たんだよ。食事に行かないか?街に素敵なレストランができたんだ。」
「悪いけど、行けないわ。教会での仕事が残ってるの。」
「もう、主人公は真面目だな。そこが良いんだけど。最近、君、顔色が悪いだろ。ちゃんと食べてないのかと思って。」
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。」
主人公は微笑んだ
悪い人ではないのだ
寧ろいつも優し過ぎる気遣いで、彼は主人公に接してくれる
「じゃあ、明日はどう?病院は休みの日だろ?」
「アサド、、、、何度もお断りして本当に悪いのだけど、私には外食は贅沢なの。」
「もうそんな事を気にしなくても、もちろんご馳走するよ!レディに僕が支払わせるわけないじゃないか。」
そういうことじゃないのに、、、
主人公は心の中でため息をついた
これまで数え切れない程に、アサドと同じやり取りの攻防を続けてきたが、彼の辞書に『諦める』という言葉はないらしい
事あるごとに、食事や買い物などに誘われている
主人公が応じるのは、せいぜい病院内でミーティングを兼ねて珈琲を飲むくらいだ
「それに話したいこともあるんだ。一体、いつになったら病院勤務だけにしてくれるのかな?って話とかさ。」
これも、もう何度目かわからない話題だ
主人公は再び、心の中でため息をついた