第9章 届かない気持ち
カラカラに乾いた喉からは、頼りない程に小さな声しか出なかったけれど、、、ローはその言葉に片眉を上げた
「、、、何でもだと?」
さも馬鹿にしたように言われ、掴まれた顎が乱暴に離される
よろけそうになりながらも、コクリ、と主人公は頷いた
「、、、ほう?」
お前に何ができるんだ?と言わんばかりの表情で、ローは鼻で笑った
まるで信じていない表情だ
「じゃあ、、、俺が死ねといったら、お前は死ぬのかよ。」
「、、、ええ。」
主人公はローを真っ直ぐに見て答えた
彼が死ねと言うのなら、喜んで死ねる
むしろずっと、自分はそう望んでいたのではないかというくらいに主人公の心は冷静だった
お世話になった神父様や院長、街の人々の顔がチラついたが、無理矢理に頭の隅に追いやった
そんな主人公にローは眉を顰めた
眉間のシワが深くなり、じっと主人公を見つめている
まるで主人公の真意を探っているようだ
長い沈黙が流れた
思案するように考えたあと、暗い瞳が嘲りを露わに細められ、彼は言った
「じゃあ、俺の、、、奴隷になれよ。」
「ど、、れ、い、、?」
何を言われたかわからなくて、ゆっくりとローの言葉を辿る
「そう、、、奴隷だ。」
奴隷、、、
聞き間違いでなければ、奴隷になれと彼は言った
奴隷とは、人間でありながら所有物として扱われる事だ
聞いたことはあるが、実際に主人公は奴隷と呼ばれる人を見た事はない
宛もなく彷徨っていた頃、良い仕事があると、見知らぬ男の狡猾な言葉に騙されて、気がづけば売られそうになっていた事がある
その時に男は言った
お前は天竜人への奴隷になるんだ、と
理不尽な要求をされても、口答えは許されず、死ぬまで働かされるのが奴隷だと
主人公の明らかな動揺を見て、ローはニヤリと口角を上げた
「、、、出来もしねェくせに、適当な事「わかったわ。」」
主人公は静かに、しかしキッパリと言った