第9章 届かない気持ち
ドゴッという嫌な音とともに、血しぶきがあちこちに飛び散り、バキっと骨の折れる生々しい音がする
グラスの割れる音や、何かが倒れる音、女の悲鳴や男の怒号
突然に始まった喧嘩に、、、、正確には、一人の男による一方的な暴力に酒場は騒然となった
そうなってからようやく、シャチやペンギン達はローがいない事に気がついた
まさか、、、とは思って人混みを見に行くと、、、
人だかりの中心には、皆が避けるように不自然な円形ができていた
その真ん中には
馬乗りになって、一方的に男達を殴り続けているローがいた
「キャプテン!」
ベポの声で弾かれたように、シャチとペンギンが慌てて止めに入る
「ちょっ、、、おいおいおい!何やってんだよ!!」
「やめろよ!!!キャプテン!やりすぎだ!!」
2人に羽交い締めにされても、無理矢理引き剥がされるまで、、、、ローはすでに動かない男達を殴り続けていた
死体のように、血まみれで床に転がる男達
全員ピクリとも動かない
「うわっ、、、こりゃひで〜。」
シャチが、思わず呟いた
マジで全員死んでるかもしれない
「あれ?コイツらって、、、」
こないだの奴らだよな。とペンギンがシャチに確認をとる
人相は、、、既にわからないほどだったが、いかにもな服には見覚えがあった
確かに柄の悪い連中ではあったが、、、、なんで奴らとローが一体どうしてこうなったのか、、、
「キャプテン、一体どうしたんだよ?」
「何があったんだよ??」
ハァハァと今だ怒り冷めやらぬ勢いで、ローは肩で息をしながら吐き捨てた
「、、、、コイツ等が、、、目障りだっただけだ。」
ローが纏っているのは、シャチ達でさえビリビリとくるほどの明らかな殺気だ