第9章 届かない気持ち
暗くなった酒の席を、盛り上げるべくベポが口を開いた
「でも!!この街に来て、悪いことばかりじゃないよ。」
「「主人公な!」」
シャチとペンギンは同時に声を揃えた
「主人公はほんと良い子だな。俺等みたいなのにも、優しくってさ。」
シャチが年寄り臭く呟くと、ペンギンも感慨深そうに続けた
「いや〜今日の主人公の手作り弁当、あれ美味かったなぁ。オレ、手作り弁当って初めて食ったもん、、、。」
小さな頃に親を亡くし、孤児として育ったペンギンにとっては余程嬉しい出来事だったようだ
手作りの料理、それだけで『家庭』というものに少しだけ触れられる気がする
それは、シャチだって同じだ
うんうん、とペンギンに相槌を打っている
「シスターなのに医者っていう、ギャップがいいよなぁ!あの修道服がさ、またなんともこう近寄りがたくてさ。あれでハイヒールとか履いてくれて、踏んづけられたら、、、もう想像しただけで最高!」
ちょっと良い話ぽかったのに、煩悩にまみれグフフと、笑うペンギンにシャチとベポはひいた
「そりゃ、お前の趣味だろ。このドMペンギンめ!」
「そんなに、褒めるなよ〜。」
「いや、褒めてねーし。」
ヘラヘラと笑うペンギンの笑みは、次の瞬間に消え去ることとなる
ガン!!
割れるほどの勢いで、誰かががテーブルにグラスを置いたから
ローだった、、、
「あ、あれ?キャプテン!??、、、もしかして怒ってる?」
ギロリとローに睨まれたペンギンが、恐る恐るローの顔を覗き込む
「、、、怒ってねェ。」
舌打ちをしながら答えるローの顔は、明らかに怒ってる
なのに本人は怒っていないと言うから、余計に不可解
そして怖い
何か話題が悪かったのだろうか、、、、ペンギンが冷や汗をかく前に、ベポが思い出したかのように語気を強めた
「そういえば、キャプテンはさ!なんであんなに主人公に冷たいの?確かに、キャプテンが嫌いなブロンドだし瞳は青だけど、主人公はすっごく良い子だよ!船を見てくれるように頼んでくれたのも主人公なのに、ちょっとあの態度はないんじゃない??」
「、、、、、。」
プリプリとベポが怒って、ローに問い正す
しかし、ロー本人はまるで聞こえてないかのように無視を決め込んだまま、また酒を口に運んだ