第9章 届かない気持ち
その夜、ハートの海賊団は酒場にいた
ようやく船長の許可が出たからだった
街で唯一の酒場、、、、期待していなかった割には、店内は広く席も多数ある
それに酒の種類も田舎では珍しいほどに随分と充実している
その為に客が街以外からもやってくるのだろう
店内はほぼ満席で、ワイワイガヤガヤと酒の匂いと人々の熱気でごった返していた
ローのような賞金首は、人混みに紛れていた方がかえって目立つことはない
ロー達は店内の端の空いているテーブルに座った
ようやく酒場にありつけることができたシャチとペンギンはそれはそれは上機嫌だ
席につくなり次々と酒を注文して、水の如く酒を飲み干す
ローも昨日の二日酔いは嘘だったんではないかと思う程に、通常モードのザルぶりを発揮している
彼等のテーブルの上には、空のグラスが次々に並んでいった
程よく酔いが回ってきた頃、ペンギンが口を開いた
「そういえば、船大工のおっさん。今日、船を見ただけじゃあ、原因がわからねェって?」
「ああ。おっさんすっげぇ難しい顔してさ。原因がわからねぇから、また明日見にくるってよ。」
シャチも顔を少し赤くして、グビグビとビールを流し込みながら答えた
ベポは酒は飲まないので、ソフトドリンク専門だ
牛乳やオレンジジュースをチビチビ飲んでいる
ちなみに、酔った2人を介抱するのもベポの役目だ
「船、心配だなぁ、、。直らなかったらどうしよう。」
自分達の予想以上に船は良くない状態なのかもしれない、、、
今更ながら、船が直らなかったら、、、という最悪の状況が脳裏を過る
ガレーラカンパニーで新しい船はもう出来上がっている、あとはそれを受け取りに行くだけ
今の船がなくても、ガレーラカンパニーまでならここからそう遠くはない
どこかの船に相乗りさせてもらうなり、金を払って送ってもらうなり、ガレーラカンパニーまで行く方法ならいくらでもある
しかし、そんな提案をするクルーは一人もいない
全員があの年老いた船を、心から案じていた
「、、、、今は修理屋に任せるしか、手がねェな。」
ローも歯痒い思いだったが、こればっかりはどうしようもない
あの修理屋を頼るしか今できる術はないのだ