第9章 届かない気持ち
自分でも咄嗟の事だった
何故かと聞かれたら、理由はねェ
体が勝手に動いた それだけだ
船に修理屋が来る日、何故かアイツも現われた
大荷物を抱えて、シャチ達に大きく手を振る主人公
昨日、俺が帰ったあとアイツに教会で食事をご馳走してもらったんだと、帰船した3人から聞いた
聞いてもないのに、ベラベラとシャチ達が騒ぐもんだから嫌でも耳に入る
美人な上に料理まで美味いだとか、日が暮れるまでいっぱい話しただとか、アイツがペンギンの話に涙が出るまで笑っていただとか、まぁ、3人は上機嫌で大騒ぎだった
ローは黙って聞いてないフリを決め込んだが、内心イライラしていた
すっかりあの女に手懐けられやがって、、、
それでもあの女、、、主人公と俺の過去の事は、シャチ達に話すつもりはない
話す必要がないからだ
主人公もシャチ達には話していないようだ
それは、きっとアイツも話す必要がないと思っているから
“もう関わりたくはない”
俺と思いは同じらしい
そう思っていたのに、、、、
わざわざ船を見に来て、笑顔でシャチ達に大きく手を振る主人公
あんなにバカみたいに、はしゃぎやがって、、、
ただのお礼だとアイツは言ったが、それにしてはうちのクルーに構いすぎる
一体何を企んでやがるのか、、、全く読めねェ
俺は絶対に、油断なんかしねェからな
そう気を引き締めるように、自分自身に言い聞かせた
ローがイラつく気分でも変えようと、コーヒーを淹れていた時、、、、
ベポが主人公に船を見せてやる、と大きな声で叫んでいた
ベポめ!
勝手な事、しやがって、、、