第8章 憎しみの形
主人公はローのその背中を、声もかけられないまま悲しげに見送った
「キャプテンさ、二日酔いなんだぜ。いつもはガバガバのザルなのに。」
ペンギンがコッソリと教えてくれた
「だから、機嫌悪ィの主人公のせいじゃねーし、別にあの人、怒ってねーからな。」
シャチがニカッと白い歯を見せて笑った
また、二人に気を遣わせてしまった
「島に来てからずっと機嫌も悪いし、何かあったのかな〜。」
ベポの言葉に胸が痛んだが、グズグズ悩んでもしょうがない
気持ちを切り替えるように3人に言った
「あの!よかったら、お昼をご一緒しませんか?教会で私が作るので、たいしたおもてなしはできませんが。」
「え?まさかの手作り!いいの?」
「マジで!行く!絶対行く!」
「アイアイ!おれも食べたいよ!」
こうして、彼等と昼食をともにすることになった
外食は清貧な教会の暮らしには贅沢だ
別に禁止されているわけではないのだが、教会に来てからは外食などはしたことない
そのかわり全て一人で作るので、料理の腕は幼い頃よりかは格段に上がったと思うし、手早くできるようにはなった
あまり彼等を待たせるのも悪いので、手早くできるメニューにしよう
教会に着くと、急いで用意に取りかかった
「お待たせしました。」
出来上がった料理を次々にテーブルに料理を運ぶ
野菜たっぷりのシチューに焼き立ての手ごねパン、分厚目に切ったベーコンに、新鮮な卵のオムレツ、あとは自家製の野菜のサラダ
さすがに、パンは発酵が間に合わないから冷凍していた生地で作った
多めにストックしていてよかった
贅沢もできない為、おもてなしにしては質素かもしれない
それでも一人の時とは格段に豪勢なメニューだ
「「「いただきます!」」」
モリモリというよりガツガツと、争うように食べる3人はどうやらお腹が空いていたらしい
「うっま!何これ!!」
「やべぇ。美味すぎて、いくらでも食べれるな!」
「本当に美味しいね!主人公、シチューおかわりあるかな?」
俺も!オレも!と、次々に手が伸びる
かなり多めに用意したつもりだが、テーブルの上の食事はあっという間になくなってしまった