第8章 憎しみの形
冷静さを取り戻したら、もうここにいる理由は見つからなかった
彼女が医者だとしても、コイツに薬を譲ってもらうなんてまっぴらごめんだ
重要な薬のストックはある
手に入れたかった薬たちは予定通り、次の街で揃えればいい
どうせ、二日酔いの薬など、、、あいつらはなけりゃないでかまやしねェ
きっとコイツも、俺に会いたくなんてなかったんだろう
目の前の悲しそうな瞳の彼女に酷くイライラした
復讐する気なんて今更ねェよ、、、、
この島に来たのは、全くの偶然だ、、、
こっちはお前の事なんて、きれいさっぱり忘れてェんだ、、、、
そう思い、出て行こうとした俺に
彼女が後ろから叫んだ
(ロー、待って!お願いだから)
その切実な声に、ほんの一瞬だけ迷った
彼女が俺を呼び止める理由
それはきっと、10年前のことを懺悔したいのだと
そう思ったから
彼女の口から、後悔の懺悔が聞けたなら、俺は前に進めるのだろうか、、、、
蒼い海を見る度、金色の月を見上げる度、ジリジリと焼け付くような焦燥感から解放されるのだろうか、、
そう考えた、瞬間に
足が勝手に動いた
彼女の必死な呼び止めも、聞かず
謝罪の言葉を聞いてしまえば、全てが終わりのようだったから
だから柄にもなく足早に、、、いや、逃げるように走って、、、、そのまま船に帰っちまった
らしくねェ、、、
なんて、ザマだよ、、、
ローは再び、盛大なため息をついた
シャチやペンギンには悪いが、とてもじゃないが酒場に行く気分ではなかった
自室にはたくさんの医学書がところ狭しと置いてある
今夜ばかりは、彼女との事を思い出させる医学書ですら目の端にも入れたくない
何とも嫌な気分だ、、、
机に置いてある酒瓶を乱暴に開け、ローは強い酒を一気にあおり飲んだ
度数が高いアルコールによって焼け付く喉は痛みさえ伴う
しかし、ほんの僅かな酩酊感でも今は求めずにはいられずローは続けざまにあおり飲んだ
何杯かの酒の力を借りて、無理矢理にでも眠ろうと目を閉じる
しかし、目を閉じでもチラつくのは彼女の泣き顔
クソッ、、、、!
今夜は、とてもじゃねェが、眠れそうにねェ
ローは諦めて、もう何杯目かわからない酒に再び手を伸ばした