第8章 憎しみの形
ローの事ばかり考えていた主人公は、彼らの会話にふと耳を止めた
彼らが話しているのはきっと、街で唯一の船大工のタウロスさんのことだ
彼は偏屈で有名な人で一見さんや、海賊には絶対に手を貸しそうにないタイプの昔気質の職人さんだ
昔はガレーラカンパニーという造船所にいたと言っていた
腕はかなり良いと聞いている
「主人公ちゃん、この街に他に船大工っている?」
「あいにく小さな街でして、専門的な人はその人しかいないんです。」
「そっか、困ったな。」
「もう1回、頼みに行くか。」
本当に困っているのだろう
海に出るには船がないと始まらないのだから
―――あ、、、もしかしたら
主人公はあることを思い出した
タウロスさんは2年前に大きな手術をした
その時の担当医が主人公だ
誰も見つけられなかった悪性腫瘍を見事に見つけ、手術をしたのは主人公だった
あとひと月、腫瘍を見つけるのが遅かったら今頃タウロスさんはこの世にいない
これで生まれてくる孫を抱ける!と、随分と喜んでくれた
(先生は命の恩人だ!何かあったら声をかけてくれよな!)
退院するときに、そう言われた
医者として当然の事をしたまでで、ましてや船なんて私には必要がないから、今の今まで忘れていたが、、、
もしかしたら
ローとこの人達の助けになれるかもしれない
実際ただの社交辞令であって、私が頼んだところでタウロスさんが船の修理を引き受けてくれるかなんて正直わからない
でも、何かせずにはいられなかった
「そもそも廃船寸前だった船だからな〜。」
「ちゃんと、直るのかな、、。」
シャチの一言にベポが寂しそうな顔をした
「オレらの使い方が悪かったのかもな、、、」
ペンギンの顔も悲しそうだ
いたたまれなくなって、暗くなっている彼等に声をかけた