第8章 憎しみの形
「修理屋みつかるといいね〜。」
「、、、そうだな。」
二人を見送った後、ベポの言葉にローは古びたマストを見上げた
どこもかしこも傷だらけで、たくさんの修理跡がある
マストだけではない、船全体が同じように傷まみれで修理跡だらけだ
この船はまだハートの海賊団を結成してすぐの頃に手に入れた、いわばローにとって初めての船だ
もとは立派な船だったのだろう
港の片隅に捨て置かれたようにあったその船は、見る影もないくらいに古く劣化してきてはいたが、どっしりとした男性的な船は堂々たる風格があった
隅々まで丁寧に作られていて、作り手の気遣いがよくわかる
何故か酷く心惹かれて仲間達の「もっと新しいのがいい!」という意見を跳ね除け、船長権限で強引に購入した
聞けば廃船寸前だったらしく、船自体は格安で手に入れることができたが、かわりに決して安くはない修理代とリフォーム代を払う事となった
しかし、ローの決断は決して間違っていなかった
修理とリフォームを終えた船は、見違えるほどに立派になりロー達を驚かせ、、、、
それから約10年間、廃船寸前だったとは思えない程にこの船はよく頑張ってくれた
荒れ狂った海にものともせず、時には襲ってくる海賊達に傷つけられ、時には海王類に体当りされ、、、
そんな風にこの船は、ハートの海賊団と共にいくつもの海を航海してきた
ローにとって、船はあくまで移動手段であって道具にしか過ぎなかったが、、、
初めての船だからだろうか、、、今ではこの船に随分と愛着が湧いていた
しかし、、、
別れは必ずやってくる
それはローにもよくわかっていた
新世界には、この船ではいけはい
新世界への過酷すぎる航海を乗り切るには、この船は年を取りすぎている
正直、名残惜しかったが、新世界に行く為にローはこの船とは別れを告げることを決めた
野望の為だ、、、仕方ねェ
そして世界一の造船所、ガレーラカンパニーに新しい船を注文したのが1年前の出来事だ
その新しい船をウォーターセブンに受け取りに行く途中のアクシデントだった
あと、一歩のところでぶっ壊れやがった
まぁ仕方ねェ
だいぶジイさんだからな
最後にちゃんと直してやるよ
ローは今一度マストを見上げ、心の中でそっと呟いた