第6章 嘘
「南の港だな。、、嘘じゃないだろうな?」
再度、、、コクリと人形が虚ろな瞳のまま頷いた
トクン、、、、トクン、、、、トクン、、、、
規則正しく流れる血
こんな状況だというのに、少女の脈には一寸の乱れもなかった
「、、、間違いなさそうだ。」
―――居場所さえわかれば、小さい島だ
―――まだ間に合う
既に海に出でいたとしても、政府の船ならすぐに追いつくことができるだろう
そうとわかれば、もうこんな所に用はない
ルッチは立ち上がろうとしたが、グッと腕を掴まれそれは阻まれた
掴んだのは、死んだ母親の遺体の脇で座り込む壊れた少女
掴んだ腕の力は驚くほど強かった
―――ああ、確かに取引をしたな、、、、
ルッチは少女を冷たく見下ろした
この俺に催促するとは
しかも、殺してくれと
―――さて、どうするかな
生やし立ての髭を触りながらルッチはほんの数秒、考えた
―――やはり殺すか、、、、
そう思い小さな頭にガチャリと銃口を当てた
しかし、少女は微動だに何の反応も見せない
「おい、、、。本当に殺していいんだな。」
「、、、、、、、。」
他の事には全く反応しないくせに、少女は殺すと言えばコクリと頷いた
―――フン、面白くないな、、、、
泣き喚いて許しを乞う者、または勝てると思って向かって来る身の程知らず、強者に出会えたと嬉々として刃を抜く者
そういう奴らを絶望の淵に追い込みながら殺す時こそ、面白いのだ
そんな時、ルッチは自分が生きていると心の底から実感できる
殺して欲しいという奴をみすみす殺してやるのも、性格上癪にさわった
こんな生きた屍みたいな奴を殺しても、ルッチに得るものは何もない
―――しかし、取引は取引だ