第6章 嘘
「珀鉛病の治療法を発見したの。彼はもうじき治るのよ。その治療法を渡すわ。ただし、治療法だけよ。政府にとっても悪い話ではないはずよ。」
リリスは分厚いファイルを片手に取って、ルッチの方に見せた
「フッ、、、。」
「政府も治療法を探している筈よ。」
「数年前なら、喉から手が出るほど欲しかっただろうがな。だがもう、治療は無駄だ。政府には珀鉛病の者は、どんな状態・状況でも即刻殺せと命じられている。」
リリスの顔が、サッと青ざめる
「なかったことに、、、するつもりなのね??」
「さあな。治療法を見つけたのが本当だとしても、もう珀鉛病の奴らは残ってないに等しい。」
「なんて勝手な、、、。」
切り札のつもりで出したカードも、役に立たないってわけね、、、、
リリスは唇を噛み締めた
でも、ここで引くわけにはいかない
「これ以上は話しても無駄だ」
ルッチが、ガチャリと銃口を向ける、、、、
『指銃』でもよかったが脅す場合は、すぐに死を連想させる銃の方が効果的だ
「もう一度だけ言う。そこをどくんだ。」
「彼は私の患者よ。絶対に渡さないわ。お願いだから、あなたも考え直してちょうだい。こんなことは、間違ってるのよ。」
てっきり泣き喚くと思ったのに、女は銃に少しの怯えも持っていなかった
それどころか、この俺を説得しようとまでしている
馬鹿らしい、、、、
「では、死ね。」
銃のスライドを引き、女に照準をあわせた
青空みたいな瞳が、真っ直ぐにルッチを見つめた
目の前に死が迫っているとは思えない程、その瞳は金色の髪と同じように輝いていた
自分の信じる何かを、まるで疑っていない瞳
他人の為に命をかけるなんて、全くどうかしている
ルッチには全く理解できなかったし、理解するつもりもなかったが、、、、、
何故だかそんな女を美しいと思った
「、、、、、、、。」
フッ、、、、
この俺が一瞬でも女に、気を取られるとはな
自嘲の笑みを漏らしながら、ルッチは引き金を引いた