第6章 嘘
「この島か。」
クルッポー
男の独り言に、男の肩の上の鳩が答えるように鳴いた
黒いスーツにシルクハット、肩の上には鳩、、、
一見奇妙な出で立ちの若い男だが、男はその若さにそぐわない程の重々しい空気を身に纏っていた
それは幼い頃から政府によって英才教育を受け、数々の殺しの任務を遂行してきた彼だから身に纏えるもの、、、、
サイファーポール CP9 諜報部員
ロブ・ルッチ
ちなみに、鳩の名前はハットリ
ちょうど、近くの島で任務が終わったばかりのロブ・ルッチに任務という名の新たな指令が入ったのは、つい昨日のことだった
任務は、珀鉛病患者2人の駆除
「たった二人か。」
殺しのスペシャリストのルッチにとっては、不満な数らしい
チッ、、、たかだか病人相手にこの俺が駆り出されるとはな、、、
こんな仕事は下っ端にやらせればいいのに
政府は珀鉛病に対して、よほど神経質になってるらしい
珀鉛病、、、、
任務以外にあまり興味がないルッチにとっても、フレバンスの事件は記憶に新しい
王族と世界政府は産業が始まる100年以上も前に国の地質調査でその事実を知りながらも、珀鉛が生み出す巨万の富に目が眩み事実を隠蔽していた
そして、珀鉛病の奴らは近隣諸国から迫害され、抹殺され、戦争になり、やがて滅んだ
国民が一斉に珀鉛病を発症した時、王族のみ早々に脱出した
そう、世界政府の手引きで、、、
世界政府のお偉方は、いまだにその事実を隠そうと躍起になっている
くだらん、、、、
ルッチは心の中で毒づいた
そんなに焦らなくても、政府に意見する者は片っ端から”排除”してしまえばいいのだ
その為に、「闇の正義」、、、我らCP9がいるのだから
“殺し”さえ正当化されている、知られざる存在の政府機関
真実なんて興味はない
この次の任務は、数カ月間の諜報活動と決まっている
身分を隠しての諜報活動だ
しばらくは、おおっぴらに人は殺せなくなる
二人とは、なんとも物足りないが、、、、
「さて、どんな風に殺してやるかな、、、」
不気味に笑ったルッチの独り言を、ハットリだけが聞いていた