第6章 嘘
その頃、、、、
リリスは、赤ん坊の診察を終えたところだった
診察結果は幸いにも、生後半年を過ぎた赤ん坊特有の突発性発疹だった
高熱が3日目ということもあり、今日中には熱も下がり明日には身体に発疹が現れるはずだ
新婚夫婦の待望の一人目の赤ちゃんということで、いきなりの高熱を心配したのだろう
リリスも診察までは大病だったら、と心配していたので胸をホッと撫で下ろした
大抵の子が1歳になるまでにかかる病気で、特段心配するような病気ではないことを両親に丁寧に説明する
「ああ、よかった。先生、ありがとうございました。」
まだ若い母親は、忘れないようにと懸命にメモをとり、何度もリリスに礼を述べた
「悪いが、用が済んだら帰ってくれ、、、」
リリスと話していた妻を庇うように、赤ん坊の父親である男に阻まれる
「あなた、、、島の反対側からわざわざ来てくださったのに失礼よ。せめて、お茶でも、、。」
妻が慌てて止めに入る
「いえ、帰ります。」
早々と支度をし、家を後にする
「先生、すみません。本当にありがとうございました。」
妻は申し訳なさそうに、バタバタと玄関まで見送りに来てくれた
ドアを後ろ手に閉めてから、小声で教えてくれた
「ああ見えてあの人、昨夜は寝ずに子供の看病してくれてたんですよ。本当は先生に感謝してる筈です。」
診察中も固唾を飲んで見守っていた
きっと良い父親なのだろう
伝染病を流行らせた、、、その不信感があの態度の表れだろう
歓迎されない事なんて、もう慣れっこだ