第6章 嘘
ふと、、、話し声が近くで聞こえてきて主人公は足を止めた
考え事をしていた為だろう、、、会話が聞き取れるくらい近くに人がいるなんて今まで気が付かなかった
男が二人、海の方を見ながら話している声が聞こえる
見覚えがある二人、、、、
どちらも村人だ、、、、
一人は昔、屋根から落ちて足をざっくりと切り運ばれてきたことがある若い男
「痛ェ〜。死んじまう!」と大騒ぎしておかあさんが「これ位で死なないわよ。」と呆れ顔で治療したのを良く覚えている
もう一人の中年の男はよく知ってる、、、
主人公をいじめる、いじめっ子のお父さんだった
以前その男から、伝染病が流行った時に母と主人公にひどい言葉を投げつけられたのを思い出す
『この、疫病神め!』
母が苦労して作った特効薬を渡した時に、憎々しげに吐き捨てられた言葉
剥き出しの敵意をぶつけられた日の事を思い出し、胸がキュウっと縮む思いがした
見つかったらまた何か言われるかも、、、主人公は踵を返し帰ろうとした
幸いにも男達は、海の方向ばかりを見ているので主人公にまだ気づいていない
二人は熱心に海の方を眺め、望遠鏡で何かを探しているようだった
商船が来る日だったかしら、、、、
数カ月に一度、島に来る商船は村人にとって生活の糧であり、外界から持ちこまれる珍しい品を手に入れる楽しみの一つでもあった
こないだ来たばかりの筈だけど、、、、そう思いながら静かにその場を立ち去ろうとしたが、男達の会話が耳に入り思わず足を止めた
「おい、あれ見ろ!世界政府の船だっ!」
「昨日連絡したばかりなのに、さすが世界政府だ。仕事が早い。」
世界、、政府、、、、、??
なんでこの島に、、
こんな小さな島、見回りが義務付けられている海軍だって滅多にこない
ましてや主人公が知る限り、この島に世界政府なんて来たことはない