第6章 嘘
待ちに待った翌朝、、、
主人公は早朝から、胡桃を拾いに森を歩いていた
そろそろ胡桃の実が落ちる頃だ
本当は朝一番でローに会いに行きたかったが、久しぶりでなんだか気恥ずかしい
朝食を運ぶ口実があれば、気恥ずかしさも半減するだろう
だから早起きして、朝から中華粥を作ってきた
鶏肉と鶏骨で出汁をり、生姜と塩で味付けする。そのスープでお米を柔らかく炊き、香菜と炒った胡桃を入れたら香ばしくて美味しいのだ
最後に卵を落としたら完成だ
以前にローが褒めてくれたメニューだった
朝食にローに食べてもらおう、そう思い下ごしらえをしてから海辺の近くまでやって来た
本当は風邪が治ったばかりだから、外を出歩くのはよくないかもしれない
いつもなら、健康管理には口うるさい母に「治ったばかりで外をうろつくなんて!」と、止められるところだがその母は今朝早くから珍しく村の人の往診に行っている
普段はリリスを恐れている村人だが、皆が母の腕が確かなのは知っている
まだ小さな赤ちゃんが急に高熱を出したので、母が呼ばれたのだ
赤ちゃん大丈夫かしら、、、、
小さくて可愛らしいであろう赤ん坊の姿を想像して主人公は、まだ見たことのない赤ん坊の身を案じた
早くよくなりますように、、、
いくら村人に嫌われているからといって、主人公は村人の事を決して憎んでいるわけではない
小さな頃は親切にしてくれた人もたくさんいたし、お世話になった人もいた
一年前の伝染病があってから村人はガラリと変わってしまったのだ
知らないからこその恐怖
ほんの小さな何でもない事柄でも、知らないが故に恐怖によって恐ろしいものに見えてくる
医学を勉強するようになって、主人公はその事を痛感するようになった、、、
皆、いつかはわかってくれるだろうか、、、
もうすぐ主人公は島を出る
島を出たくないと言えば嘘になるが、村人とわかりあえないまま旅立つのは正直悲しかった