第3章 年中行事〜クリスマス〜
♪〜♪〜
どこからともなく流れて来る音楽は、この時期限定の可愛らしい曲。
真っ赤な服に真っ白なお髭を生やし、これまた真っ白で大きな袋を持ったおじいさんが、全世界の子供たちに幸せを運ぶ日。
今日は年に一度のクリスマスだ。
「明希〜そっち終わった〜?」
「もう終わるよ〜」
今は玉狛支部のリビングでクリスマスツリーを飾っている。さすがに一人じゃ出来ないから真ん中が僕、上の方を悠一、下の方は陽太郎に任せている。
「よし、出来た!」
「あきちゃん!さいごのしあげするぞ!」
「OK!」
陽太郎を抱っこして高い高いのように上に持ち上げる。陽太郎の手にあるのはツリーの天辺を飾る金の星だ。
「これは絶対にオレがやる!あきちゃんがだっこしてくれ!」と頼まれたため、こうして持ち上げて飾らせてあげている。
「できた!」
落ちないようにそっと置いた金の星は、天辺でキレイに飾られ、ツリーの中の主役としてそこにいた。
「流石陽太郎。位置も角度も完璧だな」
「とうぜんだ!オレは玉狛がほこるエリート隊員だからな!」
下に降ろすと、エッヘンと腰に手を当てて威張る陽太郎。
すごいねと言って頭を撫でてやれば、嬉しそうに笑みを浮かべる。可愛いなぁ。
「さて、こっちは出来たし、他を手伝いに行くか。陽太郎は雷神丸と一緒にお昼寝の時間だぞ」
「まだねむくないぞ!」
「いや、あと5分で寝るって俺のSEがそう言ってるし、雷神丸が迎えに来てるぞ」
「ぐぬぬ...しかたない。いくぞ雷神丸」
雷神丸に跨り自室へ戻る陽太郎。夜になったら楽しい事が待ってるよと、心の中で呟く。
「よし、次行くぞ。明希はキッチンでレイジさんの手伝いが良いかな。俺は防衛任務行ってくる」
「わかった。頑張ってね」
「おう。明希もな」
分かれた後僕はレイジさんの所に行き、ケーキ作りを任された。レイジさんは料理の方に力を入れていて、既にいい匂いがリビングを満たしている。
今日の料理は格別だろうなと誰もが思い、今年が初めての僕と玉狛第二の3人は、無意識のうちに期待が高まっていた。
「藤咲、味見してくれるか?」
「もちろん!」
と元気よく返事したは良いものの、今は両手が塞がっている。あ、これどうしようと思っていると、口元に味見用のスプーンが寄せられ反射的にパクッと食べる。
...美味しすぎる