第3章 年中行事〜クリスマス〜
美味しすぎる料理に味見する意味あったか?と思いながらモグモグしていると、「どうだ?」と聞かれる。
「ふほふおいひいへふ!」(すごく美味しいです!)
「そうか。喉に詰まらせるなよ」
「ふぁーい♪」(はーい♪)
口元を隠しながら答える。ちゃんと通じているのはレイジさんだからだろう。
美味しい一口を貰ってやる気もいっぱいになった僕はケーキ作りを再開する。美味しいクリスマスケーキが出来ますように!
焼き上がったケーキを切ってトッピングを始める。その前に
「レイジさん、クリームの味見してくれませんか?」
「いいぞ」
今度はさっきの反対でレイジさんの手が塞がっている。スプーンを取り出しクリームを乗せて口元に運ぶと、少し戸惑いながらも食べてくれた。
「どうですか?少し甘すぎますか?」
「...いや、これぐらいでいいだろ。美味いし、俺の作るクリームもこれぐらいだ」
「やった♪ありがとうございます♪」
レイジさんのお墨付き貰っちゃった!嬉しいなぁ♪
上機嫌でクリームを塗り始める。綺麗な黄色い生地が真っ白なクリームに覆われて、あっという間に黄色が見えなくなる。
そこからは早く、苺やクランベリーなどのベリー系を間にトッピング、上にクリームを絞って、苺とクリームで出来たミニサンタを飾れば完成だ。
我ながら良い出来栄えだと思う。
「お、綺麗に出来ているな」
「あ、林藤さん。おかえりなさい」
「おう、ただいま。明希のお菓子作りの腕が知らない間に上がってて、おじさん嬉しいな」
「ありがとうございます。レイジさんに味見して貰ったので、味の方も期待しててくださいね」
「そりゃあ楽しみだ。みんな喜ぶだろうな」
そう言って呼ばれるまで部屋にいるからと、リビングを出て行った。まだ仕事が残っているようで、忙しそうだ。
「明希ー!ちょっと来てー!」
「なーにー?」
扉から顔を覗かせた桐絵に呼ばれ、隣の部屋に行くと可愛らしいサンタが5人いた。
「見て見て!サンタの衣装!どう?」
「わぁ!みんなとっても似合ってる!可愛いよ!」
「ありがとうございます」
「可愛いだってオサム」
「お前もだろ」
(君たちみんな可愛いよ)
5人の可愛いサンタを写真に納める。
「そう言えば、この衣装誰が集めたの?」
「私が人数分買って来ました!もちろん、明希ちゃんのもあるよ!」
「え」