第2章 年中行事~ハロウィン~
悠一に強制連行(手を引かれている)されたまま本部へ到着。どこへ行くのか宛はあるのか聞けば、「着いてからのお楽しみ♪」と言われた。
道中誰とも会うことなく、とある部屋まで辿り着いた。
「実力派エリート迅悠一!本日の主役を連れてきたぞ~!」
悠一の後に続いて僕らも中に入ると同時に、パンパンッと破裂音が響く。
驚いて瞑った目をそっと開ければ、そこは何故か誕生日仕様に飾られ、見知った顔でいっぱいの嵐山隊隊室だった。
『Happy Birthday!明希(先輩)!』
部屋中に響くお祝いの言葉。最初は何が何だか全く分からなかったが、すぐ理解出来た。
「そういえば今日って、僕の誕生日だっけ?すっかり忘れてた」
「だと思って、このパーティーを企画したんだ。ハロウィンはそのついで」
「そうだったんだ...」
僕の一言でドっと笑いが起こる。みんなの笑顔が今日も見れて幸せだ。
「えっと、みんなありがとう」
「明希〜「ありがとう」じゃなくて今日だけ有効な『魔法の言葉』言ってよ〜」
何処からかのんびりした声が上がる。声の方を見れば、それは瑠衣だった。
魔法の言葉ね。OKOK
「Trick or Treat!お菓子(プレゼント)くれないとイタズラするよ?」
お決まりのセリフを言えば、みんなが順番にプレゼントを渡しに来る。大きい物や小さい物等様々で、でも、それに込められた気持ちはみんな同じなんだろうなと思えた。
プレゼントの数よりも沢山の幸せを感じた。
夜
パーティーがお開きとなり、それぞれ家に帰る人やこれから任務だと言う人など様々に帰って行った。
今は玉狛へ戻る道すがらだ(中学生3人はレイジさんが車で送って行った)。夜空には綺麗な満月が出ており、周りには綺麗な星が見える。今日は随分と冷え込むようだ。
「今日は楽しかった?」
「うん♪今までで最高に楽しい誕生日だった!」
「そう言って貰えて嬉しいよ。...ねぇ、ちょっと目を瞑ってて?」
「?」
大人しく目を瞑る。数秒後、僕の首周りでゴソゴソしたあと、「もういいよ」と声を掛けられ目を開ける。
悠一の手には手鏡があり、それを見れば綺麗なネックレスを付けた自分がいた。
「綺麗...」
「気に入ってくれた?」
「勿論!ネックレス貰ったの初めてだよ!ありがとう、悠一!」
僕には勿体ないくらい最高の誕生日となった。