• テキストサイズ

モデルのボーダー隊員~番外編~

第5章 年中行事〜お正月(初詣)〜


「桐絵、苦しかったら言ってね」
「大丈...ん...ちょっと苦しいかも」
「ごめんね。もう少し我慢してね」


「なんだろ。この会話だけ聞いてると、小南が明希ちゃんに襲われてるように感じる」
「ちょっと栞!馬鹿な事言ってないで準備しなさいよ!」
「はーい!」
「出来たよ桐絵。お姫様みたいに可愛いよ」
「ほんと!?明希もその着物似合ってるわ!」
「ありがと」

僕はさっきまで玉狛の女子の着付けをしていた。栞が言っていた会話は帯を締めている時のものだ。
僕が着付け方を知っていたのは、撮影の時にスタイリストさんに教えて貰ったからだ。

それはさて置き、目の前で着物姿の自分を鏡で見ている桐絵が本当にお姫様みたいに可愛い。時代劇に出てきそうだ。
勿論千佳ちゃんや栞も着付けをした。
照れる千佳ちゃんと、どやぁと自信満々の栞、着物を着てはしゃぐ桐絵。三者三様の反応がそれぞれとても可愛らしい。

「みんな〜。そろそろ行くよ!レイジさん達が待ちくたびれてる!」
「今行く!明希行きましょ!」
「うん!」

桐絵に手を引かれて玄関まで行くと、男組は本当に待ちくたびれていた。申し訳ないな。

「みんな見て!」

と、男組の所に着くなり「明希に着せてもらったの!」と嬉しそうに見せていた。天使。

「様になってるじゃねーの小南。着物も似合ってるな」
「そりゃ明希が選んで着付けてくれたんだもの!私に似合ってて当然よ!」

桐絵は真っ先に林藤さんに見せる。それを見た林藤さんは別嬪さんだなとか、化粧で少し大人っぽくなってるとか一杯褒めている。桐絵の林藤さん好きは昔から変わってないらしい。

「そんで、その明希は....ほぉ、こりゃまた小南とは違った別嬪さんだな」

そう言って今度は僕に視線が向く。視線を向けられるのに慣れすぎてしまい、反射的にニコッと笑ってしまう。仕事の癖が抜けてない事に安心していいものか疑問だ。

「明希すっごく綺麗でしょ!私が選んだのよ!明希が選ぶと絶対暗い色しか着ないもの!」
「ナイスだ小南。よくやった」
「暗い色の方が好きなんだけどなぁ…」
「紫も暗いよ?これは明るいけど」

僕が来ているのは鮮やかな紫に蝶と花柄の着物。
みんな似合うって言うけど、華やかで女性らし過ぎて僕には...

「明希は自分を低く見過ぎ!もっと自信持ちなさい!」

バンッと背中を勢いよく叩かれた。
/ 66ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp