第11章 闇 終
カカシは走った。無我夢中だった。
間に合え。間に合ってくれ。足がもつれる。転けそうになる。枝や木で手や足、肩に無数の傷を作ったが、気にも止めずに、前を走り続けた。
チャクラは ほぼない。今日千鳥を何発も放ったからだ。 カカシの体力も ほとんど残っていない。空っぽだ。
ヤナギに勝ち目はなくとも、太い枝に飛び移り、前を向いて走り続けた。大事だ。失いたくない。離れたくない。なにがなんでも助けてやりたい。大切だからだ。
カカシは懸命に 前を向いて走った。必死に、ヤナギと花奏を追いかける。頼む。頼むから、間に合ってくれ。
カカシは、何度も何度もあたまの中で願った。
間に合え。頼むから。頼むから、間に合ってくれ。
ふと、
走りながら、カカシは夜空を見上げる。
息を飲むほど、綺麗な月と瞬く星が
無数に広がっていた。
カカシの父、
はたけサクモが、自決した日も、
美しい月と満天の星空だった。