第11章 闇 終
「カカシ、あいつの術は、たしか、数時間で切れる。 今は冷静に判断しろ」
パックンは、起こった一部始終を伝え、
カカシを見上げて言う。
花奏は、
黙ってヤナギのあとについて行った。
伝言を残して。
「花奏は、立場を逆にして行動してほしい。と言っていたぞ」
「逆? ああ、オレが捕まって、花奏が命をかけて、助けに来てほしいか?ってことでしょ? 」
カカシは身体をかがませて、
割れたクマのコップの破片を拾う。
「ぜったい、助けに来なくていいって言うよ。当たり前じゃない」
カカシは沈んだ声で言った。
「これさ……、スーパーで花奏が買ったヤツなんだよね。 キャラクターものなんか、ダサいって顔したのに、知らんぷりしたのよ。 好きなものは好きなんだって」
大事に拾って、部屋を綺麗に片付けカカシは、ガラスコップを棚から取り出した。 冷蔵庫を開けて、お茶を入れ、一気に飲み、ひと息をついた。
冷蔵庫をパタンと閉めたあと、
気合いを入れるように、カカシは自分の頬を叩く。
「さてと、……行くか」
背伸びして、
パックンを、通り過ぎる。
「カカシ…………どこへ行く?」
振り返ってカカシに聞いた。
いつもの冷静さに欠けたカカシを、
穴が開くほど、見ていた。
「オレは、花奏を失いたくない」
カカシは、背中を向けて、手をひらひらと動かす。
「カカシ! 待て! 死に急ぐ真似をするな!」
「パックンは、三代目に報告してきてよ。 ぜったい、来るなって言っておいてちょーだいよ。 邪魔が入ったら大変でしょ?」
カカシは、ドアを開ける。
柔らかな大きな満月を背景にして、
カカシの顔に、微笑みの影ができる。
「パックン、頼むな」
カカシは、瞬身の術を使い、その場から消えた。
「待て、バカものが!! カカシ!」
パックンは、瞬身で消えた場所で叫んだ。