第29章 始まり
「交換留学生の花奏と似てねー?」とシカマル。確信犯だ。笑っているし。
「あーー、知ってるぜ。アイツはフホウシンニュウで逮捕されたってー」とキバがいう。「ワン」と赤丸も吠えた。
「へーやっべーヤツだったんだなー」と別の男の子が言うのだ。
いやいやいやいや。いっさい逮捕されてない。「自分の里に帰ります」と先日お別れ会をしたはずだ。なぜ犯罪者にしたがるのか。
「じゃ、とにかく!今日からよろしくお願いします!」
まあ、よくコレで
話が通るな。とりあえず簡単な座学からしようかな。
「じゃあ、さっそく……」
「おい」
「え"っ、あ、はい。サスケくんどうしましたでしょうか」
「授業……本気でやれよ」
サスケ君の鋭い視線と低い声が飛ぶ。いや恐いよ。ちゃんとやるよ。
「あー、サスケってば、年上のネェちゃんが好きなのかってばよ!?」
「……」
「……ナルトくん、あの、やめよ、ね」
火に油を注ぐような事をなぜ言っちゃうのか。無言がさらに恐いよ。相変わらず困ったふたりで。
イルカ先生も大変だなぁ……。イルカ先生はナルトを叱ったあと、端で椅子に座った。
この教室にいる子供たちが将来有望な忍になる。そう思うとワクワクしていた。
「さ、授業しよ」
私の掛け声に「はーい」と可愛い、重なった返事が返ってきた。