第29章 始まり
「花奏ってば、暗部に変身したってばよ!すげーってばよ!つぇぇ!!」
「ま、まあね。りゅりゅりゅ留学生だからね!もうそりゃあ、変身なんて簡単で。アハアハハ……」
凄い汗が流れる。
助かった。バ、バレてない。
いや待て。勘の良いサクラ、いの、クラスの女の子たちは、さすがに私を怪しむはずだ。
……。
そうだ。
私を見ていない。聞いていない。そう私の存在すらどうでも良いのだ。
女の子達は集まっていた。
だれにか?
主役級のヒーローのもとへ
だよ。
「サスケ君、大丈夫?すっっごく!わたし心配したんだよ?」
キラキラ瞳を潤ませて視線を合わせて、サクラは、しゃがんでハンカチをサスケ君に差し出した。
「あ!!?あーーサクラ、なに抜けがけしてんのよ!サスケくん!危ないから今日はいっしょに帰ろう?ね?あ、そうだ。そうしよ!」
「ー!?っんな!いの!抜けがけ禁止よ!イノブタ!」
「はぁー?!デコッパチのくせに」
バチバチ火花が飛び散る。イノやサクラだけではない。クラスの女子9割以上がサスケ君へと集まっていた。なんというハーレム。
サスケ君。サスケ君。サスケ君……ネバーネバーエンド。
みんな……サスケ君に夢中だ。黄色い歓声の輪でサスケ君の姿は何も見えない。キャアキャア悲鳴に近い声が響いた。
とりあえず、私は暗部だとバレずにすんだ。…のだろうか。わからない。とりあえず良しとしよう。
「イルカ先生」
カカシがイルカ先生に近づく。イルカ先生がカカシの声に振り返れば、紅、アスマ、それにガイも集まっていた。