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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


カカシはガイのとなりに並んだまま
目を細めた。

「街にいる奴は、尾行する暗部が対応している。自来也様も動いているんだよ。悪いが、こちらは抜かりはないよ」


「……!!……く」

首謀格の敵は
顔を歪ませて拳を握りしめた。

「まさか……!!…も、門番を、たやすく倒させた理由は、我々を油断させるため…だと?」

小さくうなだれて呟いた敵の両肩を
アスマが強く掴んだ。

「……なんだ知らないのか?番人は暗部の護衛暗部だぜ?そう簡単に暗部がやられるわけないだろ」

「!!」

グキっ……

途端に嫌な音を鳴る。

「ー!!!…ゔうっ…!!」

両肩の関節を外したのだ。
敵が痛みでうごめく。

「悪いな。逃げられちゃーオレ達が困るからな。拘束させてもらうぜ」

焦げる煙草の煙が、敵の頭上で、ゆらゆらとのぼった。目は余裕の笑みを浮かべる。


「おらよっと…!」

縄できつく縛ると、
担いだ敵をひと山に乗せた。

カカシが失神した敵の山を見あげる。
ガイもそばに寄った。


「やーっと尻尾を出したねー。なかなか出ないから、首を長くして待っていたのよ」

カカシが私に視線を送りながら
話し始めた。

自来也さまが
ひとりで木ノ葉隠れ里に忍ぶ
残党を殲滅させた。

ーーだが、外部へ出払う敵まで手が回らず、逃してしまう。残った抜け忍が様子を見越して攻撃を仕掛けてくると、みんなで見張っていたようだ。


「ま、これは紅とアスマ、それからガイに与えられた任務。花奏は知らなくて当然。オレは護衛暗部から情報が届いて、すぐに向かったが……まさかサスケを狙うとはねえ……」

紅い眼孔が鋭く細まる。肩を外され、カカシに睨まれた敵の男の顔面から、汗が噴き出た。顔面蒼白に変わる。


「ま、たっぷり、イビキに
可愛がってもらうんだな」

拷問のスペシャリストの名を紹介したカカシは、トドメに敵の後頭部に手刀を落とした。

「ぐ…!!」

気を失った敵は白目をむいた。



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