第29章 始まり
10分後。
戻ってきたカカシの両脇には、捕らえた忍がいる。気を失った両者をグランドに転ばし、両手足に縄で縛り付けた。
「ねーガイ、オレ8人」
ガイのとなりに歩いて、
手のひらを重ねて数字を作った。
「なぬ!?いつのまに…な、7人だ!」
歯軋りするガイは悔しがりながら、敵を寝転ばした。縄で縛る。
カカシやガイは、倒した敵を中央の人山に次々と乗せていった。どんどん膨れ上がる。敵は虫の息。
「あー、疲れた」
人で出来た山を見ながら、カカシは、パンパンと手に付いた砂を払った。
「まさかねー……アカデミーの授業中に残党さんが、わざわざ、おいでになるとはね」
ズボンのポケットに手を突っ込んで
歩を進める。
首謀格らしき男の前で軽く腰を下ろした。手や足を拘束された敵は睨んだが、カカシの顔をおがんだ途端、すぐに眉間をひそめた。表情を歪めた。
「まさか…、写輪眼はたけカカシ…!」
「……せーかい」
残党の男がおののく。
「なぜ、貴様がこんな場所に…」
「んー?なんでだと思う?」
顔を傾けたカカシの写輪眼の片目は
紅色に染まるまま。表情は冷ややかだ。
「綿密さが足りなかったな」
「…これで勝ったと思うな!ここにいる仲間だけではない…!今、木ノ葉の街を総攻撃しているのだ」
「…ほう、それは抜かりないな」
「仲間は50人を超えているのだ。今ごろ……!」
首謀者の敵が街に目を移す。正確には左右を見渡した。そして次の言葉を失う。
「のろしの合図で破壊を……」
口を開いたまま表情が固まる。
「………は?……な…」
方角は紅のいる場所だ。
「あーーもぅーー疲れたぁ」
遠くから、首を鳴らして
コチラに向かう。
紅の黒い髪が風にそよぐ。
真っ赤な唇がとがる。
「体力が完全に戻っていないのに、もう勘弁して欲しいわ」
ずるずると、地面を引きずって、男どもを引っ張ってグランドに歩いた。
アスマも両肩に敵を乗せて戻って来る。木の下にも敵の山が溢れる。10名ほどの敵がすっかり気を失い、泡を噴いていた。