第29章 始まり
カカシとガイが次々と敵を倒していく。
その姿に慌てた敵がサスケ君を横目で見やる。
「クソ、……アイツだけでも!」
イルカ先生と戦闘していた敵が、
くるりと身体を反転させて走り出す。
「っー!!おい!待て!」
イルカ先生の叫び声が響く。一気に走り抜ける抜け忍の目的は、サスケ君だ。彼の襟首を掴もうと手を伸ばした瞬間だ。
敵の頭上に大きな影が出来る。
「ーーっ!!?」
見上げた瞬間はもう遅い。
「ーー!?なっ!」
デカい丸太が敵の頭上に振り落ちる。
鈍い音とめり込む音が響いた。巨大な丸太が敵の顔面に直撃した。ずしんと地面に当たり、丸太がゴロリと転がった。
悶絶して猛烈に鼻を押さえて敵が痛がる。
地面で呻き声を上げて、のたうち回った。
「ま、丸太だと……!?」
さっきまで演習で使用していた丸太だった。手の砂を払うのは、力持ちのチョウジだ。ニヤリと笑ってる。
アカデミーの子供が敵を囲んだ。
なんて怪力……。さすが……秋道一族。
「すごいね。コイツら…」
カカシは思わず目を細めて肩を震わす。
私の肩をぽんぽんと叩いて耳打ちしてきた。
「ーーここは、任していいか?」
「大丈夫。あとは、この敵だけだからね」
私が頷くと、カカシとガイは瞬身を使い
その場を離れた。
「……舐めやがって……」
敵は鼻を押さえ振り向く。
隙間から血が噴き出た。
「なな、なんだこのガキども……八つ裂きにしてやる」
膝をついて立ち上がる敵は睨んでいるが、足元がフラつく。千鳥足だ。頭も強打したようで目眩すらあるようだ。
「おっさん、形勢逆転だぜ?」
子ども達が敵の前に立ち塞がる。手にはドッチボールや硬い石を持っているのだ。
「へっへーん。やられっぱなしは、このナルト様には似合わないってばよ!!」
ナルト君は仁王立ちだ。ワン!と犬の吠える声も響いた。「おい、ナルト目立ちすぎだぞ」キバが半目だが、腕を回してヤル気満々だ。