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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


首謀者の男の暗い影が、サスケ君の頭にかかる。男は見下ろすまま、迷いなく腕を伸ばした。

「貴様さえ手に入れば用はない!黙って来い!」

「っ!!や、やめろ!」

嫌がる襟首を掴むと引きずって
グランドを歩きだす。

「おい!離せ!」

「ニャァ!」

サスケ君が抱えた猫が腕から飛び出す。敵の前で逆毛を立てて唸り上げた。

「っ!なんだよ、このクソ猫は」

敵の男は白猫の根首を掴む。そのまま地面に投げ飛ばす。ニャァっと鈍い痛み声を出した。

サスケ君が感情をあらわにさせる。
叫んだ。

「っ!!ってめぇ、なにしやがる!!」

怒鳴るサスケ君は立ち上がり、
そのまま敵の膝を蹴りとばした。

「っ!!ーてな」

スネを狙う。
男は口角をあげる。



「ーーーって言うかよ」

鍛え上げた男は脚をあげる。
不敵な笑みで少年を見下ろす。


「腰抜けの坊ちゃん、ようやく威勢が戻ったな。じゃあ来い」

サスケ君の腹だ。思いっきり蹴飛ばして
大木まで吹っ飛ばす。

「サスケ君!!」

樹木の根元に背中が激突する。少年の口から
血反吐が出て、呻き声でうずくる。


「ダメ!逃げて!」
「おーい。よそ見するなよ?お嬢さん」

三人同時に責められる私の声は
彼に届かない。

チャクラ刀で3人を応戦するのが
精一杯だ。ああ、なんで!なんで!

「に"ャア!!」

逆毛たつ白猫が男のリーダーの腕に
噛み付いたのは、この時だ。

「ってーな!!このクソ猫!」

腕にぶら下がる猫は
前歯を離さない。
ギリギリと牙が刺さる。

「死にてーのか!」

振り落とした白猫に切っ先が向かう。それでも立ち向かう猫は戦意を失わない。



「なんで逃げねーんだよ!早くにげろよ!!」

血のにじむ顔を上げたサスケ君が
泣くように、大声で叫んだ。



猫は逃げない。男を見上げる。
固まったのは男の方だった。


「………なんだこのネコ……!!目が……」

白猫の瞳孔が紅く染まる。
男が恐怖に怯んだときだ。

「っぎゃぁぁぁぁ!!!」
断末魔を叫び出して頭を抱えた。

「!?」

敵がよそ見をした瞬間だ。

猛攻な風が舞う。

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