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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


「うちは一族は消滅したに等しい。稀少価値ある写輪眼の瞳は億単位。血族の血を欲しがるマニアからの依頼だ。良い金になる」

流暢に喋るリーダーの男が誘うように剣技を振りかざす。刃が交わる。

切っ先が避けた髪に触れ落ちる。
飛ぶ鎖を屈んで避けた。

次の一手は脇腹を狙う。身体をねじりながら肘当てでガードした。腹に力を込めた瞬間、腹の奥で痛みが襲う。

「…っ」

まだ完治しない身体に
長丁場は厳しい。

他の敵は
隙が出るのを待つ。

首謀格の男が刀を再度、
交差させると、間近で口をひらいた。

「他のガキは見逃す。お前さんは、ただ、やられたフリをすればいい」

敵の耳障りな雑音が響く。私の心拍は噴き上がる。嫌な汗が額に浮かんだ。

「………あり得ない」

吐き捨てた返事が
やっとだ。

「……良い交渉だと思うが?死にたくないだろ?」


ぬめりと囁く悪魔の声に
寒気が襲った。

「くどい!」

私は後方に飛び、
もう一度刀を構えなおした。

睨む瞳が静かに
燃え上がる。

「……私はサスケ君の護衛暗部よ。背信行為は流儀に反するわ」

刀身に、もう一度
チャクラに流し込んだ。

稲光が刀をまとう。
閃光が火花を散らす。
本来の力が出なくとも。

「……死んでもイヤよ」

微笑った瞬間だ。

首謀者の男が
顎で仲間に合図を送る。

「おい!ガキは後回しだ!
あの女をまず叩き斬れ!」

返事をした3人の敵は
いっせいに私を襲いかかる。

飛んでくる刃先を屈んで避けた瞬間だ。ひとりの男が刀ではなく拳で殴りかかる。

「くっ……!」

地面に手をついて後方に退くと、手裏剣とクナイが猛虎に襲う。チャクラ刀で防御すれば、爆札が石に括り付けて飛んできたのだ。さすがにマズい!

さらに後方に下がれば、
黒い影が動き出す。

「く…!サスケ君!!」

敵3人は私の周りを回り込む。

「おっと、いかせねーぜ」

「っ!!」
……しまった。
わかっていたのに!
相手は引き離すのが狙いだ。

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