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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


一瞬フラついたサスケ君が
踏ん張って歯を食いしばり
前へ走り出す。

最後だ。
ポーチの中に手を突っ込んだ。

取り出したのは
太陽の光に照らされた
銀色のクナイ。


「っうらぁあ!!」


マトをめがけて渾身の力で投げつけた。切り裂く音と共に、鋭く刺さるクナイ。



円の中心から、
3センチの場所に刺さった。

ほぼ真ん中に近い場所。

途端に響き出す。
どよめきと、かん高い歓声が。

「すっごーーー!!!さすがサスケくんーー♡♡花奏抜かしたー!!!」

キャアキャア…女の子達が喜ぶ。男の子も声をあげて驚嘆していた。

ナルト君も驚いて声が出ない。「す…げー…てばよ」小さな感嘆の声が私に届いた。

大歓声がサスケ君を
とりまく。

女の子達が白線上を並んで
キャアキャア飛び跳ねて喜んだ。

2位に転落した私は
完敗だ。苦笑いだった。


「すごいなあ……
7歳だよね。負けちゃうなんて……」

決して手を抜いたわけじゃない。怪我の後遺症があっても、私は全力だった。


才能があるからじゃない。
器用だからでもない。

名家や、うちはの血が
流れているからでもない。

天才や才能だけでは、
語れない。

サスケ君も……
信念を貫く努力家なのだ。

夕食時、いつも料理を教えたり
お弁当を作った。

そのとき、私がいく時間は、決まって自主トレをアパート前や部屋の中で実施していた。

私が雪ノ里の任務で木ノ葉にいないときも、特訓を行なっていたのだろう。

久しぶりに見た彼の手は
傷や豆が出来ていた。



すべては、自分が強くなるため。
高みを目指すため。







「……サスケ!タイムも正確さも、全部いちばんだ。よし、やったな、さすがだ。戻ってこーい!」

イルカ先生は笑顔で、
ゴールしたサスケ君に声をかけた。

「………ふん」

サスケ君は汗をぬぐう。中腰の姿勢から、ズボンのポッケに手を突っ込んだ。

いつものスタイルに戻る。


私を見ていた。

暗部に勝ったぜ。
……みたいな顔を見せる。

してやったり顔と、
言うのだろう。


「……」

口がとがる。

負けを認めるが、
あー悔しい!


ひんやりした風が
音を鳴らして息吹く。

グランドの砂が微かに舞う。



真ん中あたりまで
サスケくんが歩を進めたときだった。

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