• テキストサイズ

【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


「く、…クソぅ」

考えてみれば、私は20歳だ。

例え名家だろうが血系限界だろうが、まだS級任務を引き受けたことのない7歳に負けるわけにいかない。

戦争を経験していない。場数を踏んでない。そんな7歳の子ども達に、暗部が負けるわけにいかない。


メラメラ燃え出す。
やる気が出てきた。

紅の横でアスマも
腕組む。
いや、ニヤニヤしている。
白猫は地面にちょこんと座っている。


「わかってんなー言いふらすぞー」

待ってよ。
マジで本気を出さないと
当分の間、仕事場で笑い者だ。


……それは避けたい。

集中だ。

目を閉じた。
よし。

見据える先はゴールにそびえ立つ
高い大木。枝ばっかりの桜の木。

「よーい……」

イルカ先生の掛け声に合わせて
スタートの姿勢を取り、静止した。
息をのむ。

「……ドン!!」

合図に合わせて前かがみの姿勢で一気に走り出す。第一関門はマット。

足底に力を加える。スピードを落とさずに片足で踏み切り、そのままマットに触れずに飛び越えた。

途端に聞こえ出す。
驚愕する声が。

つぎの丸太を
よじ登り飛びおりて着地したときだ。

「……っ!」

左腹がズキンと鈍い痛みとして響く。
すぐに顔をしかめたが、動けないほどではない。すぐに次の一歩を踏み出した。

リハビリ効果が出ている。着実に回復している。私は次のマットを片腕を使って横飛びで乗り越える。

最後の丸太をよじ登って飛ぶと、次は緑色の網だ。

網に手をかけて、なかに入った。細かな網をくぐり抜け、身を屈ませながら歩行する。たまに任服に引っかかりタイムロスが発生した。早く行かなきゃ。


難関を抜けると次はバットを持ち、ヘッド部分に額を当てて、グルグルと、その場をまわった。視界が周りながら揺れ動く。

障害物競走は昔から得意分野だ。

特にバットで回って
進む競技はいちばん得意。

「っとと…!」

バットを放り投げて走った。グルグル視界が右往左往に動く。

斜めになるのをこらえて、クナイをポーチから出した。10メートルを走りきり、矢印めがけて一気に投げつけた。

「っやぁああ!」

思いっきり投げたクナイ。投げ方が男みたいで全然スマートじゃない。

クナイが鋭く刺さる。
鋭利な音がグランドに響いた。


「…はぁ…はぁ」

中腰のまま
小刻みに揺れるマトを見つめた。

/ 561ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp