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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


ヨタヨタと右往左往に千鳥足で走りながら、ポーチからクナイを取り出す。


「っ…、おらぁぁあ!!!」


ズバっと渾身の力で投げたクナイは、真っ直ぐに軌道を変えない。そのままマトをブチ抜く。刺さるクナイは振動で小刻みに震えた。



「……!……く、くっそう……」

ナルト君の投げたクナイは、
中心から15センチズレた位置に刺さった。


「……ぜんぜんダメだってばよぉ」

ナルト君の頭のイメージでは
ど真ん中へ命中する予定だったのだろう。

刺さるクナイをひき抜き、
中心の赤丸印を触った。

肩で息する姿に
悔しさが、にじみ出た。

頑張った背中に、声をかけたのは
イルカ先生だった。


「ナルトぉォー!!当たったじゃないか!しかもすごいぞ!好タイムだ!」


とぼとぼ歩いて戻ってきたナルト君を、イルカ先生が褒めちぎる。ニコニコして頭をガシガシなでた。相当嬉しいのだろう。最後には抱きしめていた。

ナルト君も嬉しい。
沈む顔に、明るい光が差し込んだ。


「へっ……!へ、へーーん!ま!オレが本気出せばこんなもん、お茶のこさいさいだってばよぉ!!」


胸を張るナルト君に
クラスメイトは互いに見つめ合い
目をまん丸にして
仰天した。


当てるのも精一杯だった。
それがマトに刺さった。

大きく外れていない。15センチ直径の円のなかに綺麗に入った。


……凄い成長だ。
きっと修行の賜物だ。


「ナ、…ナルトくん……すごい……」

隅に座るヒナタから
羨望の眼差しがキラキラと注ぐ。

見ている人は見ている。
努力家なようだ。ナルト君は。


「すごいよ!ナルト君!さっすが!」

私は戻ってきたナルト君に、笑顔でお出迎えをして、ハイタッチした。

途端に、すきっ歯を見せて
満面の笑みに変わる。



「おう!サンキュー!!花奏もつぎ、しっかり頑張れってばよ!」

バシッと音がなるほど背中を
強く叩かれた。パチクリだ。


「えっ…!?」

「つぎは花奏だぞーー」


うそ…………
……2番手…!?


イルカ先生も
私の名を呼んで子招く。


「がんばれーー!!花奏ー!」

白線上に到着すると、遠くの木から聞こえ出す、親友の声援。

「負けたら恥ずかしいわよーー」

最大限のプレッシャーをかけるのが
ドS級の紅だ。

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