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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


みんなは知らないんだ。



ナルト君は
4代目火影様の息子だ。


超がつくほどのエリートで、木ノ葉最強の忍と謳われたミナト先生の愛息子だ。

だから

ナルト君が
弱いわけがない。

7歳の今は蕾でも。
成長の過程で、
本人すら気づかない才能が
必ず開花するだろう。

かならず頂点に悠然と立つ日が
くるに違いない。



心拍が徐々にあがる。
手に汗がにじんだ。


「よーい……」

ストップウォッチを手に持つ
イルカ先生は、右手をあげる。
ざわめく声が一瞬の静寂を作った。


「ーーーードン!!」


大きなかけ声と同時に
素早く腕をさげる。

途端にナルト君が猛ダッシュで
走り出す。

「っしゃーー!!!オラオラーー」

勢いをそのままでマットを
よじ登る。

前回の壁登りは、風に煽られて危うく壁に激突して大怪我に遭いそうだった。


……逆に言えば。

強風が吹かなければ。
ナルト君が石壁から手を放さなければ。
いいタイムが出ていたのだ。

壁をのぼるスピードは
途中までサスケ君と
同等だった。


「っ、あーーくそ!」

ナルト君が丸太やマットに両手でつく。強引に飛び越える。片足が丸太の枝に引っかかる。


「っ!!あわわわ!」

転けそうになって片足が斜めに傾く。足を踏ん張り、「くっそーー!!」と叫んで前を進んだ。

聞こえ出すのは驚嘆の声だ。



「うわ……すげー……」

クラスメイトが思わず
どよめく。


「いけーー!!ナルトくーーん!がんばれーー!!」

声に力が入る。

知らぬ間に私は
立って応援していた。

「がんばれーー!!」


最後の丸太の上によじ登る。
立ち上がって飛び降りる。


「ナ、ナルトくぅーん!がんばれー!」

ヒナタのかすれた応援の声も
グランドに響く。


「っしゃーー!!!」

網と地面の間を、ナルト君はスピードをそのままに這いずって、難関をくぐり抜ける。息を切らしながらバットを持った。


額にバットをつける。地面を軸にしてグルグルその場を5回、回転した。


「あわ、あわわわ!」

最後だ。

ーー頑張れナルト君!



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