第29章 始まり
「……し、知り合い……かな?」
アカデミーの同期とは言えない。
苦笑いで明後日の方に視線をずらした。
アスマと紅は、嫌がる猫を抱いて木の下にいる。本気で今から見学するようだ。面白そうな表情でコチラをを眺める。
ナルト君が続ける。
「なんか、デッカイヤツ、すっげー強そうだってばよ!」
デッカイ奴はアスマのことだろう。見た目だけで判断しちゃいけない。紅もS級任務をこなす手練れの忍だ。
「ふたりとも、めっちゃんこ強いの。木ノ葉のトップクラスの忍だからね」
「ヘぇーー!!すっげーんだなぁ!!」
私とナルト君は楽しく雑談していた。
しかしだ。先ほどから、サスケ君やシカマルの視線が後方から飛ぶ。チクチクとた痛いのだ。
……アイツら……誰だよ。
……上忍かよ。
背中から無言の圧力が伝わる。
特にサスケ君は負けん気が人一倍だ。どうすれば上忍に勝てるのか。たぶん戦闘のことを考えてるはず。
7歳の思考回路じゃない。天才児の頭の中は平々凡々の人間とは違うようだ。
「よーし、始めるぞーー」
イルカ先生は準備ができたのか、座って待つ生徒の前に立つ。足元には丈夫そうな大きな袋がある。
「みんな集まってるな。授業を始めるぞー。今日使うのはコレだ!」
袋から出したのは、
鋭利な手裏剣やクナイ。
ざわざわ騒がしく変わる。
「以前、手裏剣の授業を覚えているか?今日は障害物をよけながら、走って投げる練習だ。障害物競走みたいなもんだな。テストをおこなうぞー」
笑顔のイルカ先生が大きな声で言ったとき。
たちまち聞こえ出す。
「えぇええーーー!!!」
ブーイングの嵐が襲う。
顔をしかめて、互いの顔を見やる。
「なんでテストなんだよーー、オレ苦手なんだよなー」「わたしもーー、ぜんぜん当たらないし!」
「無理ー」「もーイルカ先生のバカー」
「腹減ったーー……」
反対の声がこだまする。苦手な子が多いようだ。
最後のチョウジの叫びは関係ない。
ブーブー不満の声をかき消したのは、となりに座る男の子だった。いきなり立ち上がるのだ。