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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


「にゃー」

タ、タタっと軽い足音が近づく。白猫がニャァと足もとにすり寄った。ふわふわの毛並みの胴体が私の足に絡ませる。

「にゃぁ、にゃあ」

前脚が靴に乗って、
猫なで声が下から聞こえた。

「ニャンちゃん、起きたの」


まん丸な、つぶらな瞳で見上げて顔を傾ける。……なんて可愛いの。


授業中ずっと熟睡していた。

だから猫を椅子の上に置いて、私のジャンパーをかけて出てきた。

猫は目を覚まして
私を追いかけて、外に出てきたみたいだ。

伸ばした私の手から
猫が、するりと離れる。


「……あら、なに?その猫」

しゃがんだ紅が、
猫の首根っこをつかんだのだ。

猫と目線を合わせて凝視すれば、
白い猫は、
フーーと威嚇する。

前足の爪が出て、
毛並みが逆立つ。


「なーに怒ってるのよ。変な猫ね」

いや怒るよ。
いきなり後ろ首を掴まれたら。

紅は面白そうに微笑んだまま
猫をからかう。

「ふふ、可愛いわねー」


「ほらニャンちゃん、ダメだよ」


返して?と、手をあげて
広げたときだ。

遠くで、イルカ先生がこちらに手招きして、私の名を呼ぶのだ。

途端に授業のチャイムが
グランドに鳴り響く。



「……あ、しまった…!!ごめんね、紅、アスマ!ちょっと行ってくるから、その猫をお願い!」

両手をパンッと合わせた。
急がなきゃ。

「ごめん!じゃ!」

ダッシュでむかった。

「は?」「お、おい!」


焦るふたりを置き去りにして
私は集合場所に小走りした。

「ごめんなさいー」

猫を抱きながら
演習を受けるのはマズイ。


みんなが集まる場で、「ごめんねー」と三角座りすると、私の肩をつかんで揺するのだ。金髪少年のナルト君が。


「なぁなあ、なぁなあ!花奏の兄ちゃんと姉ちゃんかよ!?すっげー忍なのか?」

ナルト君の瞳はキラキラ輝く。
顔が近い。近いよ。

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