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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


「……っせーな。黙れ」

サスケ君が自分の席から、
こちらを、すごむ。ひぃ…!
聞こえていたようだ。



「はっ……照れんなって」

一触即発。私の目がシカマルとサスケ君に揺れ動く。なんて血の気の多い子ども達だ。

「……つぎ、余計な事をいえば」

サスケ君の視線は
鋭くシカマルに送る。


「……ぶっ飛ばす」

キャアキャア……黄色い歓声があがる。

怒っても女の子は喜ぶのか。


シカマルが、さらに言いたげに
口をひらくから、私が手を上げた。

「だ、ダメだよ?ね、仲良く。みんな仲良く穏便に過ごそうよ。ね?」

……だ、誰か助けて。
どうも怒りっぽい。
沸点が低すぎる。

なんで男って、すぐに怒るの。

「……フン」

サスケ君はイラついた様子で
また参考書に目を向ける。

私に安堵感が広がる。

不祥事やイザコザは、私の監督不行き届き処分。なんとしても避けたい。穏便な学校生活を送りたい。



「ーーったく、クソめんどくせー」


シカマルは、
前屈みになって膝をつく。

「……よかった」

喧嘩にならなかった。ボソり呟く。私が、胸をなで下ろしたのは、つかの間だった。


「ーーで?……大丈夫なのかよ。胃腸炎じゃねーんだろ。見りゃわかるぜ。……腹か?」


シカマルは、さきほどより
小声で話す。

肘をついたまま、
私を尋問し始めた。


肝が冷えるとは、まさに、この事だ。

「……え?……な、なんのことか」

ウィルス性胃腸炎が
バレるのはわかる。

なぜ怪我の位置が
わかる。

唖然とする私に、
シカマルは畳みかける。

「さっき……花奏の歩き方を後ろから見てたんだよ。ちょっと、かばって歩いてたろ?」


……い、いつから!?

……あんぐり。

声が出ない。驚きを隠せない私に、シカマルはさらに追い討ちをかけた。


「いや、むいしき、かもしんねーけどな。胃腸炎はウソだって知ってたぜ。任務か?」


他の子と彼は、明らかにちがう。
洞察力、解析力、観察力、着目する観点がちがう。……登校する私の様子観察、略して様観していたのか。なんと末恐ろしい。


「じつは、ちょっと身体を傷めてて……リハビリは、もう再開してるし、大丈夫だよ」


私は苦笑いだ。かばって歩く癖が無意識に出たのかも。気をつけないと。


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