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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


自席に座ると、私の真ん前に立った。
迫真迫るサスケくんだ。


「なにを言われた」

長い机をバンと叩く。つい身体がのけぞる。なんと高圧的尋問だ。

白猫は「にゃぁ」
顔を私の胸元にそむけた。

「あーよしよし」

背中をさすったら、膝の上で小さく丸まり目をつむる。尻尾が左右に動く。かわいい。……可愛い。


湯たんぽ、みたいで
気持ちいい。


「か、身体に気をつけてねって」

柔らかな毛並を撫でる手に
じんわりと、汗がにじむ。

……間違えてない。ネジ君は、いとも簡単に変幻を見破った。暗殺戦術特殊部隊ろ班隊員を。いや、一応ね?


よもや、この失態を
3代目に知れたら……。

ゾォっと寒気が起こる。ヤバイ。
バカ者。みたいに言われて、冷ややかな視線が飛ぶ。叱咤が飛ぶ。

……なんとしても避けたい。


……そうだ。黙っておこう。よくよく考えればシカマルも知ってる。なむなむ。言わぬが仏だ。



「……アイツは、なにを使った」

諦めない。サスケ君は納得しない。
問うのを止めない。ジーーーって私の顔を見る。嘘をつくなって顔で探る。

知りたいのだ。
片手1本で倒した理由を。


「さ、さあ、私もさっぱり……」

この回答も間違えじゃない。写輪眼を用いても会得できない。血系限界領域なのだから。


「ぜんぜん、わからない、や」

顔がひきつる。
凄むサスケ君。


「…………修行、付き合え」


「え"っ!?今から?まだ朝礼も始まってないし、また放課後ね?」

「…………わかった」

ーーように見えない。

心底不服らしい。サスケ君の綺麗な瞳が細まる。仏頂面だ。口がとんがる。


「………フン、忘れんじゃねーぞ」

舌打ちしたあと、
くるりと反転した。席に戻る。

今すぐグランドへ出て修行しろ、と、サスケ君の背中に書いてある。無理だし授業始まるし。


サスケ君は自席に戻ると、難しそうな本を開けた。そのまま熟読を始める。

なに読んで……!?
……あれは参考書。なんと分厚い。
10センチ以上の厚さがある。

なんて本を読むのか。漫画はどうした。ゲームはどうした。7歳だよね。おかしいぞ。

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