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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり





翌週の月曜日になった。



私は早朝にアパートのドアの前に立つ。身体は完全ではないが、腹を強く押さない限り、ある程度動ける。身体中の傷口も、かさぶたに変わる。

今日は冬将軍到来で、とくに寒い。カカシの紺色のマフラーを貸してもらったけど、手足がかじかむ。気温は5度あるだろうか。寒いーー。

木枯しが吹いた。
枯葉が枝からパラパラと落ちる。

7歳に変幻した私は、子ども用のジャンバーを着込んで、男の子を待った。


「………あ、おはよう!」


ガチャリと、鍵が開く。ノブが回る音が鳴る。キィッと扉が動く。黒髪の男の子が黒いリュックサックを背負い、アパートから出てきた。鍵を閉めて、ポケットに突っ込んだあと、私に目線をやった。


「………はよ」

お、が聞こえない。
はっきり言え。こんにゃろう。


ーーと言いたいが、私は微笑んで、「おはよう、サスケくん」と挨拶をかわした。

私は大人だ。
優しく対応するのが大人なのだ。
おしとやかに。優しく。歳上の対応を。


今日から護衛がまた始まる。

旦那様のカカシは
家で寝る………はずだ。

よもや腕立て伏せや腹筋や背筋など、筋トレをするはずはない……はず。たぶん。いや、杖なしで歩き出していた。昨夜、手を見てグーパーしていた。……メイビー。



「私がいない間、根は来なかった?危ないことはなかった?怪我はなかった?」


小さな靴を地面でならして履くと、
綺麗な瞳をキッと睨ませた。


「ねーよ。あるわけねーだろ」


頬が膨らむ。
への字口に変わる。

あ、かわいい。

「それは良かった」

3代目や、ほかの忍たちも、
目を光らせる。

現在の暗部の軍事力は
確実に低下した。うちはの力もない。

はっきり言えば、他里から
攻め時なのだ。

動乱のなかで闇のなか動くのが、ダンゾウ様で。カカシの前例がある。なんとしても邪魔をしなければいけない。

ダンゾウ様だけじゃない。

優秀で若い忍ほど、悪い虫は付きやすい。いたいけな少年を飛行に走らそうと企む輩がわんさかいるのだ。無視の必要がある。むし。むし。

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