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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第29章 始まり


「パックン、私の家は燃えたでしょう?新しく建て替えようと思うの。土地だけはムダに広いし、みんなも住めるよ」

私は、大きな体つきの忍犬を見つめた。

「もちろんパグもね」

目をやると片耳をピンとたてる。

聞いてるよ。と
話すように。



「私も暗部での仕事はなくなる。アカデミーで働くようになる。だから、カカシと交代ばんこで、皆のお世話ができる。心配しないで?」


喋る途中で、カカシの手が私の肩に触れていた。目線を送ると、嬉しそうに目尻を柔らかに下げていた。


「花奏、ありがとな。お前の負担がかからないよう、オレも頑張るわ」

「うん。ありがとう」と私は微笑んだ。


「……そうなのか?カカシ?」

パックンが問う。他の忍犬もカカシを見つめる。見開いて、口をハ、ハッと開いて、返答を待つ。驚きは隠せない表情で。

「家は、3代目からもらった破格の報酬もあるし、デッカイ家を建てようと思っているのよ。そこで、みんなでいっしょに住もう」

時が止まったように
静かになった。

え?とビックリ
しているのだ。

カカシが続ける。

「昔みたいに忙しくて世話をできない環境じゃない。オレも今後は教育の方に回るし、人員も大幅に増やす予定なのよ」



「カカシ、でも、やっぱりボクらは」

ナルトに似たグリコが不安と心配が混じる目をカカシに送る。

「少しでも負担になるのは悪い」と話すのだ。もう一度口を開いたのは私だった。



「じつは……赤ちゃんが、今後もしかしたら出きるかもしれないの。今はわからないけど、いつか……。私は他里から来たから、もし産んでも、1人で全部しなきゃいけない」

里帰りもできない。
おばあちゃんもおじいちゃんも
いない。頼る存在がいない。

カカシが任務のとき、
ひとりでやらなきゃいけない。


「子育て中、話し相手になってくれたら嬉しいの。私が料理を作ったり、家事をするあいだ、赤ちゃんを見守ってくれる存在がいたら、私の負担は、きっと楽になると思うの」

家事を全部しなきゃいけない。
カカシが手伝ってくれても
限度がある。

猫の手でもいい。
だれか助けてって思う日が
必ず、くると思うの。

だってぜんぶ
初めてなんだから。

赤ちゃんができたら、
不安でわからない事ばかり。

お母さんに初めてなるんだから。

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