第8章 闇
花奏は、
大切な、昔からの仲間。
ヤナギと花奏だけが、
小さい頃からの付き合いだ。
大事な幼馴染。それだけの感情ではない。
カカシは今日、思い知らされる日となった。
「さて……と」
壁にかかる時計を見て、あくびが出た。
夜の10時。
何時間抱いたんだ?
布団から身体を起こし、頭をガシガシとかいた。脱衣所へ向かい、シャワーを浴びた。
本当は、朝までいっしょにいてやりたい。起きたときに、いつもの明るく笑う花奏を見たい。ついでに困った顔も見てみたい。
はあ……。
シャワーの蛇口を閉めた。ポタポタと、落ちる水滴を眺めた。
どう攻めるか。
どうやり合うか。
かすり傷では
すまない。
いま、
イタチとテンゾウが
上手く動いていることを
願うしかない。
媚薬を
「誰か」が盛った。
暗部の反逆者を
突き止めなければいけない。
そして、オレは、まざまざと、目の前で、ビンゴブックに載る敵を逃した。
暗部の大失態である。
あの男も、
追わなければいけない。
「やることが、……多すぎる」
盛大に、
カカシは
ため息が出た。
媚薬を盛った犯人。
カカシが知る限り、
可能性は、ふたりだ。
どちらかだろう。
サンドイッチを、オレに食べさそうとしたボタン。
そして、
血相を変えて花奏のもとへ
走ってきたヤナギ。
大事な仲間だ。
オレは疑いたくない。
ただ、花奏を狙った犯行なのか。それとも、誰かを罠に、はめるための行動なのか。
どういう意図があって、花奏に媚薬を盛ったのか、
たまたまだったのか、
狙って盛ったのか、
真相を確かめる必要があった。
そして、泳がせるならば、
動向を探らなければいけない。