第28章 お弁当
「…花奏、………またな」
背中から声が響いた。私が靴を履いていれば、サスケくんが玄関口まで見送りに来てくれたのだ。
「うん。ありがとう。また来週から護衛するから、よろしくね」
笑顔で私は応えた。リハビリも明日から始めなきゃ。つま先をトントンと鳴らして、扉のノブを掴んだ。
「……明日は来ないのかよ」
小さく萎んだ語尾。
振り返った私は顔を傾けた。
「……明日も来て欲しい?」
なんて意地悪だろうか。「ふつう」と言われたことを拗ねているのだ。嘘でも美味しいと…略。
「……ああ」
思わぬ返答に見開いたのは私で。
「……サスケくん…?」
小さな男の子の顔を覗き込んだら「見んじゃねーよ」と顔をそらした。ほっぺが赤い。
「……うまかったから、明日も作れよ」
「……うん。わかった。ありがとう」
ニヤニヤしてしまう。
目が嬉しさを隠せずに破顔させた。
「サスケくん、じゃあ、また明日ね」
小さな黒髪の頭をよしよしと撫でた。されるがままの男の子。
「おい、触るなよ」
「ふふ、ごめんごめん」
素直じゃない7歳の男の子が可愛いと思った。
「おやすみ」
扉を閉めるまで、私を見送るサスケくん。本当は寝るまでそばにと思ったが、カカシが家でご飯を待っている。足早に帰路へ向かった。