第28章 お弁当
追いかけたーーが!
……いいい痛い。痛い!脇腹がいたい!ままま待ってよ。私は退院してまだ一日も経ってないんだよ!
病人と老人は労われという
言葉を知らないのか!
「サスケくん!とまってよー!まってー!」
ぜんぜん聞いてくれない。無視して走る。待ってよ!サスケくん、全力疾走じゃないの!?
病み上がりで、超しんどい!
走れないのに!
なんで走るのー!
だんだんイライラしてきた私はムキになった。術なんて使わなくても捕まえてやる。みたいな。
走ること5分。結局サスケくんが自分のアパート前に戻ったところで、やっとこさ止まってくれた。
「はぁ、はぁ、…むり……」
捕獲失敗な私は脇腹を押さえて、サスケくんの小さな肩を掴んだ。がっしりと。
ていうか途中から疲れて歩いてた。走れない役立たずの忍なんだよ。
「さ、サスケくん……!」
もう勘弁してください。私がぶっ倒れる。ゼイゼイ息が切れて汗が流れた。
「あの、ここれね…ご飯作ったんだ。食べて欲しくて」
タッパーの入った袋を持ち上げてアピールしたが、私を見ないサスケくん。いらなかった…かな。
「あの…サスケくん…?」
もう一度問いかけると、背中を向けたまま、サスケくんの声が耳に入った。
「なんで……すぐに会いにこないんだよ」
目の前にいる小さな男の子の肩が
小刻みに震える。
「っー!!あ、ごごめん!えっと…墓参りしたり…家でゆっくりしてたの…ごめんね、本当だよねごめん。サスケくん、心配してくれてだんだよね、お花もありがとう」
申し訳ない気持ちが広がる。薄情だ。本当に悪い人間だ。
「……べつにいいけど、報告は必要だろ」
ひぃ。
「そそそうです。すみません」
あれ。7歳だよね。上司じゃないよね。おかしいな。なんだろうか。この緊張する圧迫感。