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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第27章 退院後


カカシと家に帰った。

パックンや他の忍犬たちのお見舞いは
明日行く予定だ。もう退院できる状態で、今はのんびりと休養中らしい。

久しぶりのアパート。
扉をあけたらいつものお部屋で。

シンプルな部屋だったのにな。

今は赤ちゃんのお部屋みたい。可愛いおもちゃはまだ端っこに置いある。カカシの匂いがした。


靴を脱ぎ、台所の卓上に、スーパーの買い物袋を置く。秋刀魚や野菜やお肉を買ったのだ。となりに用紙。

署名を終えた婚姻届だ。
カカシの名前と私の名前が連なる。
つい笑みが溢れた。


「カカシ」

靴棚に松葉杖を置いて、
靴を脱ごうと屈んだカカシの腰に
両手を回した。

「……おかえりなさい」

あのね。
いちばんカカシに言いたかったの。
おかえりって。

伝えたかったの。

大好きな……あなたに。

「おかえり」

私がぎゅっと抱きついたら
頭の上で笑う声が
小さく聞こえた。

「うん。ただいま……花奏」

背中に手を回してくれた
カカシが愛しくて。

触れる手が
とても嬉しくて。

「ふふ…なんか変だね」

甘える私を許してくれる
存在がそばにいる。

愛するひとが
優しく笑ってくれる。

こんなに幸せで
特別なことは多分ないよ。

ありがとうね……カカシ。

「大好きだよ……」

大好き…。

目をとじて
幸せに浸ってたら
カカシに肩を
ぽんぽんと、たたかれた。

「んーー…あのね、抱きついてもらって嬉しいんだけど、オレまだ靴も脱いでないんだよね」

見上げたら、
カカシの眉が八の字に下がってて
困った顔をしていた。

私はぷっと吹き出す。
そうだ。ここはまだ玄関なのに。

「あはは。ごめんごめん」

パッと手を離して距離をとった。
じつは照れている。

カカシと、結婚だなんて
小さな頃は想像もしない。

幼い頃の話で。私の父が「カカシに娘はどうですか?」なんて、サクモさんに冗談で言い出したときは、顔から火が出そうだった。とにかく恥ずかしくて。

これもまた
懐かしい思い出だな。

「じゃあ、ごはん作るね」

私はお昼ご飯の準備に急いで
取りかかった。

「ありがと花奏」

「うん。カカシは休んでて」

笑顔で買い物袋から
材料を出した。

カカシの大好きな秋刀魚と、お味噌汁に使う茄子。他、玉子と小松菜。お浸しや卵焼きを作る予定だ。

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