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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第27章 退院後


「どんなことがあっても、私はずっとカカシのそばにいるから…」

となりに並ぶカカシの袖を掴んだ。


なにがあっても
私は、そばにいるから。

言ったでしょう?

そばにいるって。


亡くなった故人は
ずっと泣いて
悲しみに明け暮れて
欲しいわけじゃない。

楽しかったことを
いつまでも、覚えていて
欲しいと思うの。

存在を。いたことを。
たまにでいいから。

思い出して欲しい。


死んだ日より
生まれた日を覚えて
おいて欲しい。

泣き続けて欲しいわけじゃない。
悲しい顔を続けて欲しいわけじゃない。

少なくとも。

私は。

少なくとも
私はあの時、そう思ったよ。

笑っていて欲しいと。

私がそばにいなくとも。

「無理しないで。私の前じゃ、もっと甘えていいから……ね?」

風がそよいだ。

たむけた花が風にそって
ゆらゆらと揺らいでる。

青空には白い月が
ふわりと浮かんでる。

「……ああ」

カカシの声が
にじんでいた。


「いつか……許される日がきたらね……いますぐは……むりだけどな」

「……うん。わかってるよ」

カカシが私を見て
辛そうに目尻を下げていた。

「頑張ろうね」


「オレが爺さんぐらいになったら許せるかもな」

カカシがそう言って笑うから、私もつい、笑ってしまった。

「ふふ。大丈夫だよ。おばあちゃんになっても、そばにいるから」


明るい空の光がカカシに当たる。

いますぐには無理だけど
なだらかに進む時間の中で
いつか。

何年かかってもいいから。
自分を許してあげて。


私とカカシは家へ続く道を
歩きだした。

松葉杖をついて歩くカカシ。
となりで並ぶ私。

「ねーカカシ、
お昼ごはん、なにしよっか?」

「んー、……サンマの塩焼き」

「ふふ、あとはナスの味噌汁?」

「あたり」

ねえ。

カカシ。

寄り添いながら。

支えあいながら。

いっしょに歩いていこうね。




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