第7章 猛毒
カカシが優しい瞳を私に向けてくれる。
「花奏」
私の名を、愛しい恋人の名前を
呼ぶように言う。
見つめられた瞳が、欲か涙か、
わからないけれど、濡れて揺らいでいた。
「お前のなかさ、あったかいよ。理性どころじゃないな、ぜんぶ持っていかれる」
「私も、きもちいい……よ、さいこう……」
わたしは、欲に濡れた目で笑い、
カカシへ両手を伸ばした。
「カカシ、ぎゅうってして?抱きしめて欲しいの」
甘えた言葉を、口にした。
カカシは目を薄くして、わたしの頭を優しく撫でた。
それから、密着するように、わたしの背中に手を回してくれる。
「……はぁ、ん、ん……」
ぎゅうっとひっつくと、あたたかい体温が伝わる。どくん、どくん、カカシの鼓動が早いし、私の心臓音もうるさい。
「花奏……」
カカシの吐く息が耳もとで、優しく聞こえる。背筋がゾクゾクと栗立った。
「……好きなひとと、初めてはやりたかったよな……」
きつく抱きしめて言う。
そんな辛そうに、言わなくていいのに。
「カカシ……キスして、ウソでもいいから、好きって言って……それで満たされるから」
「……花奏」
顔を近づけて、カカシが小さく呟く。
「好きだ……お前が好きだよ……」
ウソでもいい。ほんとうだったら、もっと嬉しいな。
「カカシ、ありがとう、わたしも、好き……」
恋人みたいに抱いて、優しく、くちびるが触れて、深く深く、舌が入ってくる。んちゅ、んちゅ、と卑猥な音が聞こえた。
「かわいいな……花奏、こんな表情ができるなんて知らなかった。もっと見せろよ」
なんて言う、カカシの目は、イタズラを企む少年みたいだった。